オールスター出場選手紹介26/ヤニス・アデトクンボ(バックス)

リーグベストの戦績でオールスターを迎えたバックスの大黒柱アデトクンボ[写真]=Getty Images

2月18日(現地時間17日)に迫った「NBAオールスターゲーム2019」。今年もイースタン・カンファレンスとウエスタン・カンファレンスによるゲームではなく、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)がキャプテンを務める「TEAMヤニス」と、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)がキャプテンを務める「TEAMレブロン」というオリジナルチームの対決という形で行われる。そこでバスケットボールキングでは、今年のオールスター出場選手を紹介していく。

■オールスター出場選手26 TEAMヤニス
ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)

フォワード/211センチ/109キロ/キャリア6年目
Twitterアカウント:@Giannis_An34
Instagramアカウント:@giannis_an34

<NBAにおける主な記録・功績>
最優秀躍進選手賞(MIP):1回(2017)
オールNBAセカンドチーム選出:2回(2017,18)
オールNBAディフェンシブセカンドチーム選出:1回(2017)
オールスター選出:3回(2017,18,19)

<2018-19シーズン 個人成績>
平均33.2分27.2得点12.7リバウンド6.0アシスト1.4スティール1.4ブロック
※2月15日(現地時間14日)終了時点

バックスをリーグベストの戦績へと導く今季のMVP候補

 2年連続プレーオフ1回戦負けを喫したバックスは、昨年5月にマイク・ブーデンホルザーHCを新たに招へいし、アデトクンボというチームの強みを最大限に活かすべく、ロースターをマイナーチェンジした。

 アデトクンボがリング下へドライブするスペースを作り出すべく、バックスはビッグマンながらアウトサイドシュートを得意とするブルック・ロペスとアーサン・イリヤソバ、そしてドラフトではダンテ・ディヴィンチェンゾ、フリーエージェント(FA)でパット・カナトンというシューターを補強。

 そうして迎えた今季、バックスは開幕7連勝という絶好のスタートを切ると、その後も連敗せずに白星を積み上げていく。3ポイントを有効活用したオフェンスと激しさを増したディフェンスが絶妙にマッチし、レギュラーシーズン中盤あたりにトロント・ラプターズを抜いてリーグトップの戦績へ。

 その間もバックスは戦力増強を断行。昨年12月上旬には経験豊富なコンボガードのジョージ・ヒルを獲得。2月8日(同7日)のトレードデッドラインには“ストレッチ4”タイプのスコアラー、ニコラ・ミロティッチをロースターに加え、戦力はさらに厚みを増した。

 とはいえ、バックスの大黒柱がアデトクンボであることは間違いない。昨季からプレータイムが約3分減ったものの、今季もここまでプレータイムと得点、リバウンド、アシストでチームトップ、スティールとブロックでは2位と、獅子奮迅の活躍を見せている。

規格外のサイズと身体能力を駆使し、今季はすでに206本(平均3.9本)のダンクをさく裂[写真]=Getty Images

 超人的な個人成績と、リーグトップレベルの戦績が相まって、今季のアデトクンボはすでに週間最優秀選手に6度、月間最優秀選手には2度選ばれている。このままバックスがリーグトップの戦績でレギュラーシーズンを終えることとなれば、アデトクンボがMVPの最有力候補に浮上する可能性は大いにあるだろう。

 今季はチームの雰囲気も上々で、昨年12月中旬に「僕らは今季、優勝するチャンスがあると感じている。このチームはタレントがいると僕は思う。毎試合、(勝利するための)努力を怠らず、エナジーをつぎ込むことで、僕らには今季、優勝できるチャンスがある」とアデトクンボが『Bleacher Report』へコメント。

 ブーデンホルザーHCについても「僕らに自信を与えてくれるし、選手それぞれに役割を与えて、選手たちはそれを喜んで受け入れている。これは選手としてありがたいことだし、どのチームにとってもすごく大きいことだと思う」と語り、良好な関係を構築しているようだ。指揮官が代わったことで、昨季ほとんど出番がなかったDJ・ウィルソンやスターリング・ブラウンが今季成長を見せている。

 トロント・ラプターズやフィラデルフィア・セブンティシクサーズ、ボストン・セルティックスといったイースト上位チームや、ゴールデンステイト・ウォリアーズやオクラホマシティ・サンダー、ヒューストン・ロケッツといったウエストのチームとロースターの顔ぶれを比較すると、バックスは地味な印象があるものの、「たくさん(のスター選手)は必要ない。僕は本当にそう思ってる。僕らにはチームの中ですばらしいピースがそろってるからね。選手全員がそれぞれの役割を理解しているし、その役割を楽しみながらこなしているんだ」(アデトクンボ)と意に介さない。

相手チームはバックスと対戦する際に、アデトクンボ(左)がペイントエリアにいることを忘れてはならない[写真]=Getty Images

 バックスはリーグトップの43勝14敗でオールスターブレイクに突入。ネットレーティング(100ポゼッションあたりの得失点差)でリーグトップの+9.4を記録しており、ここまでの得失点差(+9.8)は、フランチャイズ史上唯一の優勝を飾った1970-71シーズン(+9.1)さえも上回っている。

 「NBAのベストチームとしてオールスターブレイクを迎えることができてすごくいい気分だ」とチームの公式Twitterへ満面の笑みを見せながら語ったアデトクンボ。課題とされている3ポイントはここまで成功率22.3パーセントと不発ではあるものの、6試合に出場した2月に限って見ていくと、成功率37.5パーセントで平均1.0本を決めている。まだまだ波があるものの、この男に効果的な3ポイントが身に付けば、鬼に金棒だろう。

 今季は自身初のプレーオフ1回戦突破、そしてレブロン移籍によってワイドオープンとなったイーストを制すべく、アデトクンボは今後もハードワークを続けていく。

<オールスターモーメント>
昨年はレブロンに次ぐリーグ2位のファン投票を獲得した万能戦士

 初出場となった17年、アデトクンボは豪快なウインドミルをはじめ、いくつものダンクをリムにたたき込んで30得点に6リバウンド3スティールをマーク。昨年は16得点7リバウンド2アシストと控えめではあったものの、類まれな身体能力の高さを随所に見せつけた。

 アデトクンボはこれまで2年連続でスターターとして選出されており、昨年はファン投票でレブロンに次ぐリーグ全体2位の253万211票を獲得。規格外の万能戦士として、そしてリーグの若手選手としてはトップレベルの人気を手にしたと言っていいだろう。

 今年のオールスターゲームでは、ファン投票でイーストトップの437万5,747票を獲得したことで、アデトクンボは「TEAMヤニス」のキャプテンとしてプレーすることとなる。自身を“平和主義”と評するアデトクンボは、不仲と報じられているラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー)とジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)の仲介役を買って出ているため、プレーだけでなく、ベンチにいる時間帯でも注目を集めるに違いない。

サイズに加えてスピードとクイックネス、軽快なフットワークを活かしてリング下へ侵入するアデトクンボ[写真]=Getty Images

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