「すべてのゲームで、自分のすべてを捧げてきた」ジノビリがスパーズの永久欠番に

家族と共に永久欠番セレモニーへ出席したジノビリ[写真]=Getty Images

4度の優勝に大きく貢献したジノビリが世界に与えた影響を元同僚たちが明かす

 3月29日(現地時間28日)、昨季までの16シーズンをサンアントニオ・スパーズ一筋でプレーし、昨夏現役を引退したマヌ・ジノビリの背番号20の永久欠番セレモニーがAT&Tセンターで行われた。

 満員御礼となる1万8,756人が集結した会場には、ティム・ダンカン(元スパーズ)や昨季までスパーズに17シーズン所属していたトニー・パーカー(シャーロット・ホーネッツ)のほか、ファブリシオ・オベルト(元スパーズほか)やパブロ・ブリジオーニ(元ニューヨーク・ニックスほか)、アンドレス・ノシオニ(元シカゴ・ブルズほか)、ルイス・スコラ(元ヒューストン・ロケッツほか)といった元アルゼンチン代表のチームメートたちも姿を現した。

スパーズが誇るビッグ3が久々に集結(左からダンカン、パーカー、ジノビリ)[写真]=Getty Images

 セレモニーの中で、ジノビリは「私はラッキーだった男の1人なんだ、本当さ。私はこれまでに数多くのすばらしい手段で対処してきた。それらとうまく向き合ってプレーしなければならなかったんだ。それこそが、私のやるべきことだったんだ」とスピーチ。

 スパーズがこれまでに優勝してきた5度の優勝のうち、1999年を除く4度(2003、05、07、14年)の優勝に貢献してきたジノビリに対して、グレッグ・ポポヴィッチHCは「チームを組み立てるうえで、我々は互いのことを必要としていた。そしてマヌがいなければ、我々は優勝することができていなかった」とセレモニーで語ると、「マヌなしではきっと(優勝することは)なかっただろう。トニー(・パーカー)はマヌが持つどう猛さ、やる気、勝利に対する信じられないほどの意志、闘争心は並外れていたと言っていたよ」と明かした。

 パーカーは「君はただただユニークな男、バスケットボールの歴史の中でも、君のような選手はいなかった」とジノビリという男の個性を称え、ダンカンは「君はほかの選手たちがやり遂げる前に物事を見てきた。誰もやらないようなことをやってのけた。本当に信じられない男だったよ」とそのキャリアを称賛。

 片腕だけでクロスオーバードリブルを繰り出し、独力で相手チームのディフェンスを崩壊させ、アクロバティックなフィニッシュを見せたり、今では多くの選手が頻繁に見せているユーロステップを繰り出すなど、プレースタイルもユニークだったジノビリ。

 現在スパーズでリーダー役を務めるパティ・ミルズは「マヌについて、彼が何をしてきたかを考えるといくつも思い浮かぶね。勝負どころで見せた3ポイントや左腕からたたき込んだダンク、魔法のようなパスをコート上で見せてきたからね。僕にとってはコート外のことも忘れられないものがある。彼は僕のロールモデル(お手本)だし、キャリアにおいてすごく大きなインパクトを与えてくれたから」と感謝を示した。

 14年の優勝を共にしたボリス・ディーオ(元スパーズほか)は「皆が同じようなスタイルでプレーしていた時に、彼はバスケットボールに異なるスタイルを持ち込んだ最初の選手だと思う。マヌは新たな何かを持ち込んだんだ。数多くの若い選手たちが彼を見てはまねしようとしていた」と明かす。

 今季からスパーズに復帰したマルコ・ベリネリは「本物のチャンピオン。彼はすべてを勝ち取ってきた。ボローニャ(イタリア)でプレーしていた時、彼はすべてを勝ち取った。その後スパーズに来たけど、彼がNBAに来た時と今では大きく異なる。当時はすごくタフだったと思う。今ではヨーロッパ出身の選手が数多くいるけれど、彼らは間違いなくマヌがいたからこそNBAでプレーすることを夢見ていたんだ」とジノビリが世界的な影響力を持っていたとコメントしている。

(左から)ビュフォードGM、ダンカン、ポポヴィッチHC、オベルト、パーカーらがスピーチを行った[写真]=Getty Images

NBA史上8人目という輝かしい経歴を残した将来の殿堂入り確実なレジェンド

 23シーズンに渡ったプロバスケットボールキャリアにおいて「すべてのゲームで、私は自分のすべてを捧げてきた」と振り返ったジノビリは、アルゼンチン代表として2004年のアテネオリンピックを制し、NBAでは4度の優勝を勝ち取ってきた。オリンピックの金メダルとNBAで4度以上の優勝を経験してきた選手はNBAでこれまで8人いたものの、アメリカ以外の出身選手としてはジノビリが史上初。

 さらに、激しいチャンピオンシップ争いを繰り広げるプレーオフにおいて、ジノビリは800リバウンド800アシストに300本以上の3ポイントを決めてきた。NBA史上、これらの記録を達成したのはレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)だけということからも、この男がどれほど多くの試合に出場し、コート上で激しくプレーしてきたかを感じ取ることができるはずだ。

 昨夏の引退後、ジノビリは16年に引退したダンカンのように、スパーズのチーム施設周辺で多くの時間を過ごしており、今季スパーズの試合にも何度か足を運んでいる。今後コーチとして新たなキャリアを歩むのかは不透明だが、バスケットボールに関わっていくことだけは確かなようだ。

 そしてジノビリは、「皆さんには心からありがとうと伝えたい。僕と一緒にここへ来てくれた方、そしてこのセレモニーを見ている方、本当に感謝しています。愛しています」という言葉を投げかけて会場を後にした。

 スパーズ史上9人目の永久欠番となったジノビリ。将来のバスケットボール殿堂入りが確実なレジェンドは、今後もファンやメディアの前に姿を現してくれることだろう。

会場に集まったファンや視聴しているファンへ感謝を述べたジノビリ[写真]=Getty Images

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