デビュー3季目の今季、軒並み自己ベストの成績を残したビッグマン
トロント・ラプターズとのイースタン・カンファレンス・セミファイナル第7戦。フィラデルフィア・セブンティシクサーズは試合終盤に同点まで追い詰めたものの、カワイ・レナードの劇的ブザービーターの前に惜敗し、2年連続のイースト準決勝敗退となった。
シクサーズが誇るオールスターセンター、ジョエル・エンビードは「あんな形で負けてしまった。最後のショット1本でだ。ハードに戦ったゲームだったが、俺たちには勝つチャンスがあったと感じている。今はいろんなことが俺の中を駆け巡ってるよ。ホントに最悪だ。俺には分からないし、説明できないよ」と言い残した。
NBAデビュー3シーズン目となった今季、エンビードは開幕から30得点10リバウンド以上を連発。64試合に出場し、いずれも自己ベストとなる平均33.7分27.5得点13.6リバウンド3.7アシストに加えて1.9ブロックをマーク。フリースローでは試投数(平均10.1本)、成功数(平均8.2本)、成功率(80.4パーセント)と自己最高で、フィールドゴール成功率でも48.4パーセントと、昨季から微増。
シーズン終盤に膝の痛みにより欠場を続けていたエンビードは、ブルックリン・ネッツとの第3戦に欠場。それでも、シリーズ4試合に出場して平均24.3分24.8得点13.5リバウンド3.5アシスト2.8ブロックと大暴れ。2年連続で1回戦突破の立て役者に。
ところが、ラプターズとのイースト準決勝ではマルク・ガソルを中心としたディフェンスと、自身の体調不良も相まって好不調の波が激しくなってしまう。第2戦で試合の行方を決定づけるビッグプレー、快勝した第3戦では33得点を奪うも、シリーズ平均では17.6得点8.7リバウンド3.3アシスト2.0ブロックに終わり、フィールドゴール成功率は37.0パーセントと苦しんだ。
「スポーツの世界は残念ながら勝つことよりも負けることの方が多い」とガソル
シリーズ終了後、ガソルとハグをしたエンビードは、「マルクは(俺と似たような)多くのものを持ってる。彼のことをすごく尊敬していることは明らかだ。試合後に彼は、俺がキャリアのこの時点で正しい位置にいることを教えてくれたし、俺のキャリアはこれからも続くと言ってくれた。彼は本当にすばらしい男さ」と会見で語った。
対するガソルは、5月16日(同15日)に現地メディア『The Athletic』へ掲載された記事の中で、エンビードについてこう語っている。
「僕はただ、自分が感じたことを彼に言ったまでさ。彼のことは気にかけているからね。ビッグマンとして、彼がどんな環境からここまで来たかは理解してる。僕らは以前、同じ代理人だったんだ。だから彼がNBA入りするまでにどんな境遇で育ってきたかをたくさん聞いたんだ。僕はいつだって彼の大ファンだし、彼の個性も好きだよ」。
そしてプレーオフという厳しい世界について「スポーツにおいて残念なのは、(最後に)勝利する側ではなく負ける側になることの方が多いということ。それがプロスポーツというものなんだ。勝つよりも負ける方が多いんだ。悲しいことだけど、それが真実なのさ」とガソル。
するとエンビードは自身のツイッターを更新。「とんでもないシーズンだった。チームメートたちを誇りに思うし、長いシーズンをとおしてサポートしてくれた皆には心から感謝している。ゴールまでたどり着くことができず、すごく失望しているけど、これをモチベーションとし、もっとうまく、強じんになって戻ってきてみせる」というメッセージを世界中に発信した。
25歳のエンビードは、すでに攻防両面において豊富なスキルが備わったビッグマン。リーグ屈指の実力者と言っても過言ではないだろう。ただ、ラプターズとのシリーズで何度も体調不良に苦しむなど、体調管理に悩まされただけに、コンディションを整えることは来季に向けてマストな要素となることだろう。
とはいえ、表情豊かに楽しくプレーするエンビードは、チームに好影響をもたらすだけに、今後も自らの長所を最大限に発揮してチャンピオン争いに参戦してほしいところだ。