自身初のオールNBAチーム入りに「すごく努力してきたのでうれしいです」
5月31日。渋谷ストリームホールにて、バスケットボールファンイベント「NBA FINALS 2019 PUBLIC VIEWING PARTY presented by Rakuten TV」が行われた。
アメリカ現地時間30日に行われたゴールデンステイト・ウォリアーズとトロント・ラプターズによる「NBAファイナル2019」第1戦のパブリックビューイングにて、シャーロット・ホーネッツのオールスターガード、ケンバ・ウォーカーがゲストとして初来日。
メディアセッションに姿を現したケンバは、レギュラーシーズン終了から約1か月半が経過した現在は「とにかく今はリラックスしていて、(オフの)時間をたっぷり楽しんでいる状態です」と語ると、「今シーズンを振り返っていまして、自分にとって、これまでのキャリアの中でも非常にいいシーズンだったなと思います」と語った。
キャリア8年目の今季、ホーネッツのエースとして臨んだケンバはキャリアハイとなる平均25.6得点に加えて4.4リバウンド5.9アシスト1.2スティールをマーク。オールスターには3年連続で選ばれており、シャーロットで開催された今年は初のスターターに名を連ねた。
「今シーズンは信じられないようなシーズン、自分にとって非常に特別なシーズンとなりました。たくさんの勲章や賞をいただきましたが、特にオールNBAサードチームに選ばれたことは、ちょっと驚いたことではあったんですけど、すごく努力してきたのでうれしいです」と振り返ったケンバ。
週間最優秀選手(プレーヤー・オブ・ザ・ウィーク)に2度選ばれたことに加え、ケンバ自身が口にしたようにオールNBAサードチームへ初選出されたことは、自身のキャリアにおいてもベストと言っていいものとなった。
ケンバ率いるホーネッツは、3年ぶりのプレーオフ返り咲きを目指し、シーズン最後の5試合で4勝を挙げるなど猛プッシュを見せたものの、8位のデトロイト・ピストンズ(41勝41敗)と2.0ゲーム差の39勝43敗となり、イースタン・カンファレンス9位でフィニッシュ。来季については「とにかくプレーオフに出場すること」と、負けず嫌いのケンバらしいコメントを残した。
「経験値の高さと優勝回数を考えるとウォリアーズがちょっと有利」と分析
日本について聞かれると「初めて日本に来たんですけど、まだ買い物したくらいです。まだ1日しか滞在していませんが、とても気に入っています。日本という国を楽しんで、なにか学べることがあれば吸収していきたいと思っています」と明かすと、話題は今年のNBAファイナルへ。
今年のファイナルに出場したチームについて、ケンバは「どちらもすばらしいチームなんですけど、トロントはレギュラーシーズン中も本当にすばらしいプレーを続けていて、プレーオフ中も非常に活躍しており、ディフェンスがリーグ屈指のチームだと思います。だからこそ、今ここまでやってくることができたのかなと思っています。ゴールデンステイトもディフェンディング・チャンピオンということで、リーグのベストプレーヤーが何人もそろっています。KD(ケビン・デュラント)はケガしていますけど、ステフィン・カリーやクレイ・トンプソン、デマーカス・カズンズもケガから帰ってきました。それにすばらしいロールプレーヤーたちもそろっていますので、非常に楽しいファイナルになるんじゃないかなと思っています」と評している。
質疑応答の中で勝敗予想について聞かれたケンバは「非常に難しいんですけども、やっぱりゴールデンステイトの経験値の高さと優勝回数を考えるとちょっと有利なのかなと。ただ、トロントも非常に経験のある選手が多く、特にカワイ・レナードはとても経験がありますが、やっぱりゴールデンステイトかなと思います。ただちょっと、何試合(で決着)か、というところまでは出せないです」と予想が難しい対戦カードだと自身の見解を語った。また、「MVPはステフ、シリーズのキープレーヤーはカワイとクレイになるんじゃないかと思っています」と答えていた。
八村塁について「いつかNBAでビッグネームになるんじゃないかな」と太鼓判
メディアセッション途中には篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)と比江島慎(栃木ブレックス)も登場し、今年8月末に中国で行われる「FIBAバスケットボール ワールドカップ2019」の質問へ。
アメリカは日本、トルコ、チェコと共にグループEに入っており、9月5日には日本とアメリカが激突することとなる。ケンバはアメリカ代表候補に入っており、「もし実際に代表に選ばれたら、非常に光栄なことです。代表としてプレーすることは初めてということになりますので、もしアメリカのためにプレーできるのであれば、すごく楽しみです。いろんな国と対戦するのもとても好きなので、日本と対戦できるのであれば、それももちろん楽しみですね」とケンバ。
さらに、6月21日(現地時間20日)に行われるNBAドラフトの1巡目指名が有力な八村塁(ゴンザガ大学3年でアーリーエントリー)について聞かれると、「僕はカレッジバスケが大好きなので、いっぱい見るんですけど、もちろん八村選手のことも見ています。彼のゲームは非常に好きですね。サイズがあって動ける選手ということで、そのままNBAでもやっていけるスキルセットだと思います。彼が成長していくのを楽しみにしていますし、いつかNBAでビッグネームになるんじゃないかと思っています」と太鼓判を押していた。
小柄ながらNBAで成功するために必要なことを明かしたケンバ
その一方で、「NBAは世界でもベストなリーグですので、チャレンジというものが非常に多いです。そこに立ち向かっていくために、毎日準備が必要です。ただ、それさえできれば非常に楽しいこともあるので、競争心が強い選手であれば楽しんでいくことができると思います」とNBAでプレーする難しさについて言及。
185センチ83キロのケンバは、NBA選手の中で低い身長の部類に入る。だがコネティカット大学3年次にはNCAAトーナメントを制し、最優秀選手にも輝くすばらしい実績を残している。NBA入り後も、オールスター選出3度にオールNBAサードチーム入りなど、見事成功を収めている。そのためのスキルセットとメンタリティーについて聞かれたケンバは、こう答えている。
「高い練習意欲を持つことがやはり大事。誰よりもハードに努力することです。小さいということでシュートを打つことすら難しい場面が多いので、『どうすればうまく打てるのか、自分のベストをどうすれば出せるのか』というところをしっかりと見つけ出して、そこに対してできるだけ努力すること。メンタル的にもタフなものを持っていなければならない。大きな選手たちから狙われやすいので、そこにどう立ち向かえるのか。そういったメンタル面の強さも非常に大事なことだと思います」。
昨日行われたパブリックビューイングのハーフタイム中には、Rakuten NBA Specialオリジナル番組「俺たちのNBA‼」の公開ライブ配信にケンバが登場して会場は大盛り上がり。会場に集まったファンや出演者たちと共に、時折笑顔を見せながら楽しんでいた。
ホーネッツのフランチャイズプレーヤーとしての地位を確立したケンバは、初めて訪れた日本で多忙ながらも充実した時間を過ごしたことだろう。
文=秋山裕之