今年10月に行われるジャパンゲームズの対戦カード、ラプターズとロケッツをチェック!

ロケッツのポール(右)とラプターズのグリーン(左)[写真]=Getty Images

ジャパンゲームズ開催を前に待ち受けるドラフトやFA戦線、トレード

 今年10月8日と10日、今季フランチャイズ史上初優勝を飾ったトロント・ラプターズと、ヒューストン・ロケッツによる「NBA Japan Games 2019 Presented by Rakuten」(以降ジャパンゲームズ)が、さいたまスーパーアリーナで行われる。

 ラプターズは6月14日(現地時間13日)、過去4シーズンで3度の優勝を飾った王者ゴールデンステイト・ウォリアーズとの「NBAファイナル2019」を4勝2敗で制して創設24年目で初優勝、ロケッツは現在オフシーズンを迎えている段階。

 NBAはファイナル終了後も、6月21日(現地時間20日)にドラフトがあり、7月1日(同6月30日)からフリーエージェント(FA)戦線が幕を開けるほか、チームによっては所属する選手や将来のドラフト指名権、金銭を絡めたトレードを行うこともある。

 今季の覇者ラプターズでは今夏、プレーヤーオプションを破棄して制限なしFAになることができる権利を持つカワイ・レナードマルク・ガソルダニー・グリーンやジェレミー・リンといった選手たちが制限なしFA、ロケッツではオースティン・リバースやジェラルド・グリーン、ダヌエル・ハウスJr.といった選手たちが今夏制限なしFAとなる。

 さらに、NBAには“トレードはビジネス”という言葉があるように、来季も契約下にある主力選手でも、フロントが他チームと交渉してトレードを成立させることも多々あるだけに、両チームが現有戦力を全員残してジャパンゲームズを行う可能性は低いと言わざるをえない。

ウォリアーズとのファイナルでMVPに輝いたレナード(右)といぶし銀の働きを見せたガソル(左)の去就は気になるところ[写真]=Getty Images

実績あるベテランの加入でディフェンス力が向上、記念すべき初優勝を飾る!

 その中で、ここでは両チームの今シーズンを振り返ってみたい。

 まずはラプターズから見ていこう。昨季終了後にアシスタントコーチ(AC)からヘッドコーチ(HC)へと昇格したニック・ナースが指揮を執るこのチームは、最古参のオールスターガード、カイル・ラウリーを軸に伸びざかりのパスカル・シアカムやベテランのサージ・イバカ、シックスマンのフレッド・バンブリートといったロースターに、昨夏のトレードでサンアントニオ・スパーズから移籍加入したレナードとグリーンを加えて今季を迎えた。

 シーズン途中には元オールスターセンターのガソル、FAでリンを獲得して戦力アップに成功し、イースタン・カンファレンス2位の58勝24敗を記録。両選手が加わったオールスター後の現有戦力で見てみると、オフェンス力を保持しつつ、ディフェンシブ・レーティング(100回のディフェンスにおける失点)が107.3から105.6へと下がったことで、攻防両面において高位安定したチームへと変貌。プレーオフではレナードを中心にシアカムやラウリー、ガソル、グリーンがバランスよく点を取っており、ベンチからはバンブリートやイバカがチームに勢いを持ち込んだ。

 レナードやガソル、グリーンの去就が気になるものの、ラプターズはNBAチャンピオンに輝いたため、彼らが残留することとなれば、来季も優勝争いに参戦できることは明白。プレーオフにおける戦績は、このチームにとって確固たる自信を得ることにつながったことは間違いない。だからこそ、戦力流出することなく来季を迎えたいところ。

運動量豊富なフォワード、シアカムはほぼ間違いなく来季もラプターズの主力を務めることだろう[写真]=Getty Images

ショットの半数以上が3ポイントという、ハーデンが操るユニークなチーム

 マイク・ダントーニHCが指揮するロケッツは、3ポイントとリング下を中心にショットを放つユニークなチーム。今季のレギュラーシーズンでいずれもリーグ史上最高記録となる平均45.4本放って16.1本もの3ポイントを成功(成功率35.6パーセント)。今季チーム全体で放ったショット試投数のうち、3ポイントは実に51.9パーセントも占めている。今年4月序盤に行われたフェニックス・サンズ戦では、NBA新記録となる1試合27本を成功させている。

 ロケッツにはジェームズ・ハーデンに加えてクリス・ポールというリーグ有数のプレーメイカーもおり、積極果敢に3ポイントを狙うと共に、ピック&ロールを駆使してリング下で高確率なショットを決めてきた。今季オールスター後はリーグトップの20勝(5敗)を挙げており、こちらもオフェンス力はそのままに、ディフェンスを改善。ウエスタン・カンファレンス4位の53勝29敗でレギュラーシーズンを終えた。

 プレーオフでは2年連続で王者ウォリアーズの前に散ったロケッツは、ジャパンゲームズを前にロースターが大幅に変更する可能性がある。というのも、ダリル・モーリーGM(ジェネラルマネジャー)はシーズン終了後に「ハーデン以外はトレード可能」というスタンスにしており、ポールや若手ビッグマンのクリント・カペラ、チーム第3の得点源エリック・ゴードンや名脇役PJ・タッカーが、今夏トレードになるかもしれないからだ。

 もちろん、トレードが成立しなければ主要メンバーはそのままに、FAでロースターを一部入れ替えるだけになるだろうが、ロケッツの目標はあくまでチャンピオンシップを勝ち取ること。モーリーGMをはじめとするフロント陣が、チームにとってプラスになると判断すれば、トレードを断行しても決して不思議ではない。

 現時点で明確なのは、ラプターズではラウリーとシアカム、ロケッツではハーデンという主力が日本でプレーすることはほぼ間違いないということ。既存戦力のままジャパンゲームズでプレーしてほしい、と思う方もいるだろうが、トレードやFAで思わぬスター選手や人気選手が加入し、日本へやって来る可能性もあるだけに、今後の動きに注目していきたい。

左からゴードン、カペラ、ハーデン、ポール。ロケッツの主力に変動はあるのか?[写真]=Getty Images

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