経験豊富ながら高齢なロースターが一変、リーグで最も若いチームの1つへ変貌
昨季まで5年連続でNBAファイナルへと勝ち上がり、3度の優勝を飾ったゴールデンステイト・ウォリアーズは、今夏ロースターを刷新した。
ケビン・デュラントがブルックリン・ネッツとのサイン&トレードで移籍したことを皮切りに、フリーエージェント(FA)となったデマーカス・カズンズとクイン・クックがロサンゼルス・レイカーズ、ジョーダン・ベルがミネソタ・ティンバーウルブズへとそれぞれ移籍。
さらに、アンドレ・イグダーラをメンフィス・グリズリーズへトレードし、ショーン・リビングストンを解雇したことで、ウォリアーズのロースターは一気に若返った。
デュラントとのサイン&トレードでディアンジェロ・ラッセル、FAでウィリー・コーリー・スタイン、アレック・バークス、グレン・ロビンソン3世を獲得。クレイ・トンプソン、ケボン・ルーニーと再契約を結んだものの、チーム最年長は31歳のステフィン・カリー、続いてトンプソンとドレイモンド・グリーン(共に29歳)という布陣に。
8月1日(現地時間7月31日)に『ESPN』へ掲載された記事の中で、アシスタントGM(ゼネラルマネージャー)のカーク・レイコブが「リーグで最も高齢チームの1つだったが、最も若いチームの1つになった」と語ったように、ウォリアーズはロースターの半数以上がキャリア4年以下の選手へと激変した。
ドラフトやトレードで獲得した選手を育成し、20年以上も成功を続けるスパーズ
そのウォリアーズがモデルとしているのは、22年連続でプレーオフへ出場中のサンアントニオ・スパーズ。FAでオールスター選手を獲得したのは2015年のラマーカス・オルドリッジくらいで、1997年のドラフト全体1位指名のティム・ダンカン(元スパーズ/現アシスタントコーチ)以外の選手たちはドラフトやトレードで獲得し、チームの中で育成してきた。
その中にはトニー・パーカー(元スパーズほか/2001年1巡目28位)やマヌ・ジノビリ(元スパーズ/1999年2巡目57位)、昨夏トレードしたカワイ・レナード(2011年1巡目15位/ドラフト当日にインディアナ・ペイサーズとのトレードで獲得/現ロサンゼルス・クリッパーズ)も決して高順位の選手ではなかった。レイコブはスパーズをこのように評している。
「我々はスパーズがここ20年間にわたってやってきたことに対して、計り知れないほどリスペクトしている。彼らの選手育成における流れは本当にすばらしい。彼らが保持していたドラフト指名権は決して高い順位のものではなかったが、ショット成功率やスタッツ面で上昇している。あのチームは獲得した選手をNBA選手にすべく、実に見事な仕事をこなしていると思う」。
また、ウォリアーズのボブ・マイヤーズGMはスパーズで20年以上も指揮を執るグレッグ・ポポヴィッチHC(ヘッドコーチ)の存在も成功に不可欠な要素だったと断言している。
「ポポヴィッチがすごいと思う大きな要因の1つとして挙げられるのは、スタイルを変えながらもずっと成功を続けてきたことにある。スパーズはチームとして発展しており、確実な方法でプレーしつつ、ロースターの状況によって変えてきたんだ」。
3人の絶対的な基盤と指揮官の下、若手選手たちの成長を期待するウォリアーズ
今夏、スパーズはドラフト1巡目19位で指名したルカ・サマニッチ(クロアチア出身)、1巡目29位で指名したケルドン・ジョンソンと複数年契約を結び、ベテランのルディ・ゲイと再契約。3チーム間によるトレードでデマーレイ・キャロル、FAでトレイ・ライルズを獲得。
オルドリッジとデマー・デローザンという両輪を保持しつつ、デリック・ホワイトやブリン・フォーブズ、昨季ケガのため全休したデジャンテ・マレーといった若手やパティ・ミルズ、マルコ・ベリネリといったベテランを配置して今季に臨む。
一方、今季のウォリアーズはカリー、トンプソン(左膝前十字じん帯断裂のため開幕絶望)、グリーンという絶対的な基盤がおり、スティーブ・カーHCという有能な指揮官が複数の若手選手たちへシステムなどを教え込みつつ、彼らにプレータイムを競い合わせることとなる。
2年目のジェイコブ・エバンスや3年目のアルフォンゾ・マッキニーだけでなく、ジョーダン・プールやアレン・スマイラギッチ、エリック・パスカルといったルーキーたちがトレーニングキャンプで切磋琢磨し、チーム力を引き上げていくことができれば興味深いチームになるのではないだろうか。