2019.04.30

名将ポポヴィッチがスパーズと契約延長へ「今季はとても楽しいシーズンの1つだった」

22シーズン連続で勝ち越しを記録したポポヴィッチHC[写真]=Getty Images
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「新たなグループによる、新たなカルチャーの始まり」と名将は再契約に前向き

 デンバー・ナゲッツとのファーストラウンド第7戦に惜敗し、2018-19シーズンを終えたサンアントニオ・スパーズ

 今季で5年5,500万ドル(約61億500万円)の契約が終了するグレッグ・ポポヴィッチHCは、今年8月末から中国で行われる「FIBA バスケットボール ワールドカップ2019」、そして来年行われる「東京オリンピック」でアメリカ代表の指揮官を務めることとなる。

昨年7月にはカイリー(右)などアメリカ代表候補を招集してラスベガスでミニキャンプを行ったポポヴィッチHC(左)[写真]=Getty Images

 今年1月中旬。ポポヴィッチHCは『The New York Times』へ掲載された記事の中で、来季以降の去就について「私にはその答えがわからない」と口にしていた。

 だが、現地メディア『AP』によると、4月30日(現地時間29日)の時点でスパーズと新たな契約について交渉していることを明かしたという。

 ポポヴィッチHCは今季終了時点で、歴代3位となるレギュラーシーズン通算1,245勝を保持するリーグ史に名を残す名将。今季はNBA史上最長タイとなる22年連続のプレーオフ出場を記録している。

 昨季終了後、スパーズは長年チームを支えてきたマヌ・ジノビリ(引退)とトニー・パーカー(シャーロット・ホーネッツへ移籍)が退団。通算5度目の優勝となった2014年のファイナルMVP、カワイ・レナードダニー・グリーンがトロント・ラプターズへトレードで移籍し、デマー・デローザンとヤコブ・ポートルを獲得。

 オールスター常連のビッグマン、ラマーカス・オルドリッジとデローザン、そしてリーダー役を務めるチーム最古参のパティ・ミルズを中心に、新たな布陣で挑んだ今季はウエスタン・カンファレンス7位の48勝34敗でレギュラーシーズンをフィニッシュ。プレーオフでは3勝4敗でナゲッツに敗れたとはいえ、決して悪いものではなかったと言っていい。

 今季開幕前の時点で、「正直、私は何を期待されているのか分からなかった」と胸の内を明かしたポポヴィッチHCだが、選手たちについては「逆境のような状況で、このグループがどう応えるか分からなかったが、選手たちはチームのプログラムをこなしていくうちに多くのものを見せてくれたし、我々が求めていたことを実行してくれた。私にとって、それはとても印象的だったんだ」と高評価。

 1996-97シーズン途中からスパーズの指揮官に就任したポポヴィッチHCは、プレーオフ連続出場記録がスタートした翌97-98シーズンから昨季まで、チームにはティム・ダンカン(元スパーズ)、パーカー、ジノビリというレジェンドが少なくとも1人は在籍していた。

 だが今季はビッグ3不在の中、デリック・ホワイトやブリン・フォーブズといった若手のステップアップもあり、見事プレーオフへと進んだ。「今シーズンはこれまでで最も楽しいと思えるシーズンの1つだった。選手たちの成長を見ることができたからね」とポポヴィッチHCが目を細めた。

 今夏、スパーズの主力で制限なしフリーエージェント(FA)になるのはルディ・ゲイのみで、開幕前に膝の負傷でシーズン絶望となったデジャンテ・マレーも来季中には復帰できる見込みとなっているため、来季のスパーズは今季と同等あるいはそれ以上の戦力を有することが濃厚。

「新たなグループによる、新たなカルチャーの始まりだ」と口にしたポポヴィッチHC。現行体制2年目となる来季、スパーズはポポヴィッチHCと共に新たな歴史を残すべく、さらなる躍進を見据えていることだろう。

プレーオフで大活躍したホワイト(左)など、ポポヴィッチHC(右)は若手の躍進に一役買った[写真]=Getty Images