驚異的な成績を残したハーデンだが、アデトクンボの前にMVP獲得ならず
昨季平均36.1得点という驚異的な成績をたたき出したジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)は、2位のポール・ジョージ(現ロサンゼルス・クリッパーズ/平均28.0得点)に大差をつけて2シーズン連続の得点王に輝いた。
昨年12月中旬からギアを上げたハーデンは、32試合連続30得点以上(NBA歴代2位)というパフォーマンスを見せてリーグを席巻。史上最高のオフェンシブプレーヤーと評する者が現れるなど、選手としての格をまた1つ上げたと言っていいだろう。
MVP対決はハーデンとヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)による一騎打ちの様相となる中、1986-87シーズンのマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)が記録した平均37.1得点以来となる高得点を残したハーデンに分があるという予想があったのも納得だった。
だが結果はアデトクンボの圧勝。バックスをリーグベストの60勝22敗へと導いた規格外の万能戦士は、101の1位票のうち、78票を獲得して計941ポイントを獲得。1位票23票のハーデン(計776ポイント)を突き離してトップに立ち、ハーデンの2年連続受賞を阻止。
8月22日(現地時間21日)にラジオ番組“97.9 The Box”に出演したハーデンは、昨季MVPを手にすることができなかったことについて、こう述べている。
「一度メディアが序盤戦にストーリーを作り上げてしまうと、シーズンを通してそれが俺に付きまとってしまう。そのことについて詳細を言うことはできないけどね。ただ俺がコントロールできるのは自分ができることをやるだけ。だから俺はコートに出て、ハイレベルなことをずっとやってきた」。
MVPは“チームにおいて最も価値のある選手”であり、アデトクンボ擁するバックスは昨季、連敗が1度(2連敗)だけという高位安定した成績をマーク。ハーデン率いるロケッツは、シーズン後半から終盤にかけて白星を量産したものの、シーズン成績では53勝29敗。バックスと比較すると、やはり不利と言わざるを得ない戦績である。
さらに、アデトクンボは最優秀ディフェンシブプレーヤー賞(DPOY)でもルディ・ゴベア(ユタ・ジャズ)に次ぐリーグ2位の得票数を得るなど攻防両面で支配的な活躍を見せていた。
ハーデンとアデトクンボは、昨季オールNBAファーストチームに満票で選ばれた選手だったのだが、後者はオールディフェンシブファーストチームにも選出されていることを考えると、昨季はアデトクンボの年だったのかもしれない。
ウェストブルックと共に優勝することへフォーカスすることを明言したハーデン
するとハーデンは、今季に向けてNBAチャンピオンになることへフォーカスしていくように切り替えたことを明言。
「昨シーズン、人々は俺について、次の試合で何点奪うのかということばかりに目を向けていた。でもそれは俺にはコントロールできないこと。俺がコントロールできることは、昨季よりも向上してコートへ戻ってくることだけ。俺はタイトルを勝ち取りたいんだ」。
ハーデンとラッセル・ウェストブルックというダイナミックデュオを形成したロケッツは、今季も優勝候補の一角と評されている強豪チーム。3シーズン連続で平均トリプルダブルを記録しているウェストブルックとプレーすることで、両選手のスタッツはダウンするだろう。
それでも、プレーオフという勝負の時期まで体力を温存し、4月以降もフル稼働できることが予想されているだけに、悲願のチャンピオンシップを獲得できる可能性はあるはず。
今季ハーデンがどのようなパフォーマンスを見せつけてくれるのか。もしNBAファンでなくとも、ハーデンはスポーツ好きならば是非とも見ていただきたい選手の1人であることは間違いない。