今季も強豪ぞろいのウェストについて「すごくタフな競い合いになる」と予想
ここ数年、チーム一丸となって“打倒ゴールデンステイト・ウォリアーズ”を掲げるヒューストン・ロケッツは、一昨季にリーグトップかつフランチャイズ史上ベストの65勝17敗、昨季はウェスタン・カンファレンス4位の53勝29敗の好成績を残してきた。
だが肝心のプレーオフではそのウォリアーズの前に2年連続で敗退。一昨季はウェスト決勝で3勝2敗から2連敗、昨季はウェスト準決勝で2勝2敗から2連敗を喫して天敵ウォリアーズを下すことができなかった。
するとロケッツは今夏、直近2シーズンで司令塔を務めたクリス・ポールと複数のドラフト1巡目指名権を手放し、オクラホマシティ・サンダーからラッセル・ウェストブルックを獲得するというビッグトレードを断行。
ジェームズ・ハーデン、エリック・ゴードン、クリント・カペラにウェストブルックという強力なコアを形成し、“今季こそ”という思いで覇権争いに挑む。
そんな中、ロケッツのダリル・モーリーGM(ゼネラルマネージャー)が9月20日(現地時間19日)に掲載された地元メディア『The Houston Chronicle』の記事の中で、今季のチームについて語っていたので紹介したい。
ウェストは大型補強に成功したロサンゼルス・クリッパーズとユタ・ジャズ、昨季ウェスト2位の54勝を挙げたデンバー・ナゲッツ、レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスというリーグでも10本の指に入るスーパーデュオを擁するロサンゼルス・レイカーズなどがおり、今季も強豪ぞろいだ。
その一方、5年連続でウェストを制しているウォリアーズは、今夏ケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)らベテランが複数退団し、クレイ・トンプソンが来年2月頃まで欠場が予想されていることもあり、トップシードに推す識者はいない。
そういった状況の中、モーリーGMは「もちろん、我々は(ウェストでも)トップ候補だ。クリッパーズやレイカーズ、ユタなどがおり、すごくタフな競い合いになるだろうね。あとは多くの人たちがゴールデンステイトを過小評価していると言いたい。私は彼らのことをリスペクトしているよ。だが、我々が(ウェストの)トップシードを狙いに行く」と強気な姿勢を見せている。
「ハーデンとラス、ゴードンは3人とも30歳で、全盛期にある」とモーリーGM
今夏に行ったポールとウェストブルックのトレードについて聞かれると、「私が彼とクリス・ポールを比較することはない。それが必要だとも思わないね」と切り出し、こう続けた。
「私が言えるのは、ラスは実にすばらしい選手であり、このチームにとって大きな武器になるということ。彼は持ち前のアスレティック能力を駆使してプレーオフで自らのゲームを高めることができる選手なのは明らかだ。彼には極上のエナジーがあり、トランジションやリバウンド面で、強力な武器となる。あの男の中には、瞬時に結合できる何かがある。我々はとても楽しみにしているよ」。
その一方で、モーリーGMは以前、「クリス・ポールは年齢を重ねても、身体能力に頼らずにプレーできるだろう」と語っていた。だが代わりに獲得したウェストブルックは超人的な身体能力を最大の武器とする選手。大ベテランとなったポールよりも、4歳若いウェストブルックを手に入れたことについて聞かれると、モ―リーはこう切り返した。
「クリス・ポールはキャリア終盤になろうとも、非常に優れた選手としてプレーできると思う。彼には高いバスケットボールIQがあり、身体能力をカバーできるものがいくつも備わっている。だがラスとジェームズ、エリックは3人とも30歳で、今がまさに全盛期にあるんだ」。
ハーデンの相棒をポールからウェストブルックに切り替えたロケッツは、ここ2シーズンよりも爆発的な力を発揮する可能性がある反面、ウェストブルックがオフボール(ボールを持たない状態)で思うようにプレーできずに空中分解してしまう懸念があることも否定できない。
ただ、ハーデンがボールハンドラーとしてコントロールしつつ、得点を狙いに行く中でアウトサイドに選手が寄ってスペースを作り出すことが多かったロケッツにとって、コート上を縦横無尽に動き回り、隙あらば容赦ないドライブでウェストブルックが得点やアシストを量産することとなれば、相手チームにとってやっかい極まりないはず。
全盛期の今、ハーデンとウェストブルック、ゴードンがそれぞれのベストをコート上で出し尽くすことができるのならば、ロケッツを優勝候補から外すことはできないと思うのは当然だろう。
プレシーズン期間とはいえ、このスリリングかつエキサイティングなチームがジャパンゲームズで来日し、10月8日と10日にトロント・ラプターズと対決するのだから、この期間はきっと日本中が盛り上がるに違いない。