14年ぶりのプレーオフ出場を目指し、優勝経験を持つベテランを加えたキングス
2006年を最後にプレーオフから遠ざかっているサクラメント・キングスだが、昨季はウェスタン・カンファレンス9位の39勝43敗まで躍進し、プレーオフ出場まであと一歩というところまで近づいた。
キングスはバディ・ヒールドやディアロン・フォックスを中心に、ヤングコアを擁しているのだが、ブラデ・ディバッツGM(ゼネラルマネージャー)は昨季終了後、さらなる高みを目指すべく、チームにメスを入れた。
レギュラーシーズン終了後、デイビッド・イェーガー前HC(ヘッドコーチ)を解任し、ロサンゼルス・レイカーズで3シーズン指揮を執っていたルーク・ウォルトンを新たに招へい。さらにフリーエージェント(FA)戦線では、ビッグマンのドウェイン・デッドモンを加えたほか、優勝経験がある2人のベテランを獲得。
キングスに加わった優勝経験者は、フォワードのトレバー・アリーザとガードのコリー・ジョセフ。前者は2009年にレイカーズで優勝を経験、後者は14年にサンアントニオ・スパーズの優勝に貢献した実績を持つ。
昨季のキングスは各ポジションに魅力的な若手がいたものの、ポイントガードのフォックスのバックアップがヨギ・フェレルとフランク・メイソン3世のみと、決して万全な体制とは言えなかった。
今夏キングスが獲得したジョセフは、キャリア8年を誇る28歳。190センチ87キロという屈強な身体を持ち、ディフェンス面に定評があるベテランポイントガードだ。昨季までの8シーズンで、7度もプレーオフを経験している点も心強い。
ジョセフは今夏、カナダ代表として「FIBAバスケットボール ワールドカップ2019」に出場。チームトップの平均26.3分コートに立ち、15.0得点3.4リバウンド4.8アシスト1.4スティールを記録する活躍を見せた。
キングスに経験を持ち込むジョセフがフォックスの成長も促すことができるか?
9月28日(現地時間27日)に行われたキングスのメディアデーで、ジョセフは「僕はこのチームの中で、(これまでとは)違った役割をこなすことになる。この若いグループへ経験を持ち込もうとしているんだ。僕はこのチームをリードすることができると思ってるよ」と頼もしい言葉を発していた。
また、ジョセフはフォックスのことを“フランチャイズプレーヤー”と評したうえで、「僕がこの組織に加入したのは、自分にできる限り(若手選手たちを)手助けするためであり、多くの試合に勝利するべくトライすること。それこそが僕の役割なんだ」とコメント。
一方のフォックスは、頼れるバックアップの加入に、「彼(ジョセフ)はディフェンス面で、僕をより良いオフェンシブプレーヤーにしてくれるだろうね」と大歓迎。そしてジョセフについてこのように述べている。
「彼はバスケットボールを良く理解しているベテランであり、チャンピオンシップを勝ち取った経験がある。彼のような選手からは、もう学ぶことしかないんじゃないかな。彼はガードとしてはリーグでもベストなディフェンス力を持つ選手の1人だから、彼と練習でマッチアップすることで、僕の成長を手助けしてくれるはずさ」。
キングスにはヒールドやハリソン・バーンズ、マービン・バグリー3世やデッドモン、ボグダン・ボグダノビッチにネマニャ・ビェリツァなどスコアラーが複数いるものの、オフェンス面でカギを握るのはやはりフォックスだろう。
リーグ屈指のスピードを誇るフォックスは、トランジションだけでなくハーフコートでも相手ディフェンス陣を切り崩し、自らフィニッシュまで持ち込むことができる。フォックスのオフェンス力がアップするならば、ディフェンダーはより厳しくチェックせざるをえず、よりチームメートたちの得点機会を演出する機会が増えるに違いない。
大激戦が予想されるウェストにおいて、キングスの存在も決して忘れてはならない。