「国を代表できることは非常に光栄なことでした」とW杯を振り返る
10月2日。ジャパンゲームズを前に、トロント・ラプターズのニック・ナースHC(ヘッドコーチ)が日本のメディアとの合同電話インタビューに応じた。
ナースHCは昨季ラプターズをフランチャイズ史上初のNBAチャンピオンへ導くと、カナダ代表の指揮官として「FIBAバスケットボール ワールドカップ2019」(以降、W杯)に出場。大会全体で2勝3敗の21位でフィニッシュ。
9月9日に大会を終えたとはいえ、約2週間後にメディアデー、トレーニングキャンプという超多忙な夏を送った。
もっとも、ナースHC自身は「私としてはコンディションが良く、国際試合を行うことはすごく好きなことなので、(カナダという)国を代表できることは非常に光栄なことでした。もし(W杯で)コーチをやってなかったとしても、どこかのコートで何かをしていると思うので、あまり変わらないかなと思います」とコンディションの面で影響はないという。
トレーニングキャンプのロースターは契約選手15名と2ウェイ契約2名、そして最大3名のキャンプ契約を結んでいる選手がおり、最大20名が1つのチームで共に汗を流す。
ラプターズはナースHCの下、カイル・ラウリー、マルク・ガソル、サージ・イバカといったキャリア10年以上のベテラン陣から、パスカル・シアカムやフレッド・バンブリートといった中堅選手、さらには1、2年目の若手がミックスされたロースターでキャンプを行った。
「今のところ、いいスタートを切れていると思います。(キャンプには)20人ほどの選手がいるので、いろいろと見る要素も多いんですが、非常に前向きで、エナジーあふれるキャンプを送ることができています」とナースHCは言う。
もしも八村がラプターズにいたら? 「我々が求める選手像にはまると思う」
そんな中、今季は渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)、馬場雄大(ダラス・マーベリックス)、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)と、日本人選手が3人もNBAチームのトレーニングキャンプに参加している。
特に今年のドラフト1巡目9位でウィザーズに指名された八村は、W杯3試合に出場し、平均29.9分13.3得点5.7リバウンド2.3アシスト1.7スティールという数字を残した。
八村について、ナースHCは「そこまで詳しくはなかったんですけど、違う試合の準備の段階で、ニュージーランド戦、あともう1試合の動画をしっかり見ました。その時の印象では、すごくいい選手だなという感じを受けました。非常に興味深くて、将来性のある、いい選手なんじゃないかなと思っています」と高評価。
ウィザーズで、八村はブラッドリー・ビールやトーマス・ブライアントらと共にスターター入り、あるいはベンチからローテーション入りすることが予想されている。ルーキーとはいえ、八村はNBAという世界最高峰の舞台でプレータイムを得ることが濃厚なのはすばらしいの一言に尽きる。
そこで、ディフェンディング・チャンピオンを率いるナースHCへ、「もし八村がラプターズにいたら、どう起用しますか?」と聞いてみた。するとナースHCからは、こんな答えが返ってきた。
「ラプターズのシステムは非常に多様性があります。4アウト1インのケースが非常に多いんですけど、我々は各選手に何でもできるように求めることが多い。例えばシアカムだったり、OG・アヌノビーというように、(ナチュラルポジションが)ポイントガードではなくてもボールをしっかり運んだり、3ポイントを打ったり、ウイングとインサイドを問わずにしっかりプレーできるような、ポジション問わずプレーできる選手を求めていることが多いです。八村はそこにはまることができるんじゃないかなと思います」。
八村が所属するウィザーズと、ラプターズによる初戦は12月21日(現地時間20日)。両チームともシーズン序盤で20試合以上をプレーしており、開幕直後よりもゲームに慣れてくる時期のため、興味深いマッチアップとなるのではないだろうか。
文=秋山裕之