【単独インタビュー】ロケッツが誇る“名脇役”PJ・タッカー「今年こそ優勝したい」

チーム練習後、単独インタビューに応じてくれたタッカー[写真]=Basketball King

「食べ物は美味しいですし、ショッピングも最高です」と2度目の来日を楽しむ

 10月6日。都内某所でヒューストン・ロケッツがメディア向けにチーム練習の一部を公開した。その中で、ロケッツはスターターとリザーブに分かれて5対5のゲーム形式のメニューをこなしていた。

 ロケッツは8日と10日に、さいたまスーパーアリーナでトロント・ラプターズとの『NBA Japan Games 2019 Presented by Rakuten』(以降、ジャパンゲームズ)に臨む。ロケッツはラプターズより一足早く、5日に来日し、この日の練習では選手たちが声をかけ合いながら、緊張感が漂うムードでプレー。

 2003年に行われたロサンゼルス・クリッパーズとシアトル・スーパーソニックスによるジャパンゲームズから約16年。NBAとパートナーシップ契約を結んでいる楽天株式会社(以降、楽天)が、今年3月にロケッツとラプターズによるジャパンゲームズ(通算7度目)を実現させたのである。

プレシーズンから好調のハーデン[写真]=楽天株式会社提供

 この日の練習を終えた後、ロケッツはマイク・ダントーニHC(ヘッドコーチ)をはじめ、ジェームズ・ハーデンラッセル・ウェストブルックPJ・タッカーが会場に集まったメディアの囲み取材に応じた。

 その中で、タッカーが短時間ながら、単独取材に答えてくれたので紹介したい。

 日本到着から約1日が経過した時点ではあったものの、タッカーは「まだ昨日(5日)着いたばっかりなので、1日しかたっていないんですけど、僕自身は以前、東京に来たことがありますので、初めてではありません。けど、今回も着いてからすばらしい経験ばっかりです。食べ物は美味しいですし、ショッピングも最高。何から何まですばらしいことばかりで、本当に良い経験になっています」と丁寧に話してくれた。

ロケッツのフロントコートで主軸を務めるタッカー(左から3番目)[写真]=Basketball King

「ヨーロッパのプレー経験があったからこそ、NBAに帰ってくることができた」

 タッカーは今回のジャパンゲームズで対戦するラプターズとも縁がある選手。というのも、テキサス大学3年次にアーリーエントリーし、2006年のドラフト2巡目35位でラプターズから指名され、同年11月2日(現地時間1日)にNBAデビュー。

 ルーキーシーズンとなった06-07シーズン。タッカーは17試合に出場するも、平均4.9分1.8得点1.4リバウンドの成績に終わり、翌07-08シーズンからイスラエルへと活動拠点を移した。

 その後はウクライナやギリシャ、イタリア、ドイツでプレーし、12年夏にフェニックス・サンズと契約してNBA復帰。そこからサンズとラプターズに所属し、直近2シーズンをロケッツでプレー。

 20代前半から中盤にかけて、海外リーグでプレーしてきたタッカーは、ヨーロッパでプレーした経験についてこう明かしている。

「ヨーロッパでプレーしてきた経験があったからこそ、僕はNBAに帰ってくることができたと思っています。ヨーロッパではリーダーという存在としてのやり方(振る舞い)を学ぶことができました。(ヨーロッパでは)メインスコアラーかつチームのトップリバウンダーであり、チームの主要な選手としてやってきました。それでチャンピオンシップへと導くために、何をすればいいのか、リーダーという役割をこなすうえで、何が大事なのかといったことをたくさん学ぶことができました。今はNBAのチームで、その経験を活かすことができています」。

ヨーロッパでプレーした経験が今のNBAキャリアに活かされていると明かしたタッカー[写真]=Getty Images

 一昨季から加入したロケッツで、タッカーはチームに不可欠な選手として活躍。一昨季はレギュラーシーズン後半から先発パワーフォワード(PF)に定着。昨季は不動の先発PFとして、82試合にフル出場しており、自己最高となる平均34.2分に加えて7.3得点5.8リバウンド1.2アシスト1.6スティールを残している。

 3ポイントを多用するロケッツにおいて、タッカーは主に両コーナーから長距離砲を放っており、昨季は37.7パーセントの成功率に加えて自己最多となる平均1.8本を成功させた。

 タッカーはインサイドで身体を張る選手としては小柄な198センチではあるものの、111キロと屈強な肉体を持ち、タフで粘り強いディフェンスやリバウンド、ハッスルプレーでロケッツに不可欠な選手として活躍を続けている。

「今年はオープンな状態ですので、我々にとってチャンスだと思っています」

 在籍3シーズン目となる今季、ロケッツはハーデンとウェストブルックというリーグ最高級の“ダイナミックデュオ”を形成し、1995年以来、フランチャイズ史上3度目となる優勝を目指して始動。

 キャリア9シーズン目のタッカーは今季について、「今年こそ、優勝したいですね。本当にもう、(このチームには)ツールがすべてそろっていますし、過去2シーズンもすごく惜しいところまで行きました。プレーオフ(ゴールデンステイト・ウォリアーズの前に2年連続敗退)ではいろいろありましたが、今年はリーグがオープンな状態ですので、我々にとってチャンスだと思っています」と力強い言葉を発していた。

ロケッツ在籍3年目のタッカー(左)は、練習中にも声を出し、ハーデン(右)らと積極的にコミュニケーションをとっていた[写真]=Basketball King

 ロケッツは現在、プレシーズンゲームで2戦無敗。今夏右膝を手術したウェストブルックが出場していない中で上海シャークス(中国)を140-71、ロサンゼルス・クリッパーズを109-96でそれぞれ下しており、好調を維持している。

 8日のジャパンゲームズ初戦でウェストブルックがロケッツデビューを果たす期待が高まる中、ロケッツが誇る“名脇役”タッカーのプレーにも注目していただきたい。

取材・文=秋山裕之

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