12月11日(現地時間10日)。現地メディア『Sports Illustrated』(以降スポイラ)は2019-20シーズンの4分の1を終えた時点における、今季の主要アワードを発表した。
ここでは、『スポイラ』が発表した主要アワードの選手と候補者を紹介していこう。
※チーム名は略称、G=ガード、F=フォワード、C=センター
■最優秀選手(MVP):ヤニス・アデトクンボ(F/バックス)
<対抗>
ジェームズ・ハーデン(G/ロケッツ)
ルカ・ドンチッチ(G-F/マーベリックス)
レブロン・ジェームズ(F-G/レイカーズ)
アンソニー・デイビス(F-C/レイカーズ)
平均40得点に迫るハーデン、平均トリプルダブル級の成績を残すドンチッチという対抗馬がいるものの、アデトクンボが攻防両面で支配力を発揮している。オフェンスとディフェンスの両面で考えると、アデトクンボに軍配が上がる。
バックスとリーグトップの座を争うレイカーズのレブロンとデイビスはいずれもリーグベストプレーヤーの1人だが、ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)とケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)が在籍していた昨季までのウォリアーズのように、票が割れることになるだろう。
■最優秀守備選手賞(DPOY):ヤニス・アデトクンボ(F/バックス)
<対抗>
アンソニー・デイビス(F-C/レイカーズ)
ジョエル・エンビード(C-F/シクサーズ)
バム・アデバヨ(C/ヒート)
ジョナサン・アイザック(F/マジック)
バックスはアデトクンボがコートにいる時間帯で、96.8という恐るべきディフェンシブ・レーティング(100回のポゼッションにおける失点)を記録している。リーグ平均が110得点を超えるオフェンス全盛の中、この数字は脅威としか言いようがない。『NBA.com』によると、アデトクンボにガードされた選手はフィールドゴール38.4パーセントしか決めることができていない。ガードからセンターまで、全てのポジションをガードできる男は、とてつもない数字を残している。
レイカーズのディフェンスを向上させたデイビス、ディフェンス面でも存在感を放つエンビード、新進気鋭のアデバヨとアイザックが候補に挙がっているものの、アデトクンボの影響力はコート上だけでなく、数字上でも際立っていると言っていい。
■新人王(ROY):ジャ・モラント(G/グリズリーズ)
<対抗>
エリック・パスカル(F/ウォリアーズ)
タイラー・ヒーロー(G/ヒート)
ケンドリック・ナン(G/ヒート)
得点とアシストでルーキートップの成績を残すモラントがトップ。ここまで5試合を欠場しているため、今後長期欠場なく上質なプレーを続けることができれば、モラントが新人王に輝くだろう。
対抗馬にはケガ人続出のウォリアーズでサプライズを巻き起こしているパスカル、ヒート好調を語るうえで不可欠な要因となっているヒーローとナンが挙がった。12月13日(同12日)に『NBA.com』へ掲載された新人王候補ランキングで3位に入った八村塁(ウィザーズ)は入らなかった。
■最優秀シックスマン賞:モントレズ・ハレル(F-C/クリッパーズ)
<対抗>
デリック・ローズ(G/ピストンズ)
ゴラン・ドラギッチ(G/ヒート)
デニス・シュルーダー(G/サンダー)
ダービス・ベルターンス(F/ウィザーズ)
クリッパーズにはルー・ウィリアムズという、過去2年連続で最優秀シックスマン賞に輝いたスコアラーがいるのだが、ハレルは昨季同賞の最終候補に名を連ねており、今季はウィリアムズよりも多くの面でインパクトを与えている。得点だけでなく、リバウンドやディフェンスなど、多方面でエネルギッシュなプレーを見せている。
ほかではベンチから高精度なプレーでヒートを支えるドラギッチ、得点源の1人としてベンチから登場するローズとシュルーダ―、勝率5割を下回るチーム成績ながら、出場時におけるネットレーティング(100回のポゼッションにおける得失点差)でプラスを誇るベルターンスが入った。
■最優秀躍進選手賞(MIP):デボンテ・グラハム(G/ホーネッツ)
<対抗>
フレッド・バンブリート(G/ラプターズ)
パスカル・シアカム(F/ラプターズ)
バム・アデバヨ(C/ヒート)
ルーキーシーズンとなった昨季、平均4.7得点1.4リバウンド2.6アシストだった男が、今季はその数字を3倍近くに伸ばし、序盤にスターターへと昇格したのだから、本命はやはりグラハムだろう。ホーネッツは勝率5割を下回っているものの、プレーオフ進出のチャンスも残されているのはこの男の活躍に他ならない。
ほかでは、ラプターズのエースとしてすばらしい活躍を見せているシアカム、カイル・ラウリーとの2ガード起用に応えるパフォーマンスを発揮しているバンブリート。そして3年目の今季、出場時間、得点、リバウンド、アシスト、スティール、ブロックの主要6部門で大きく数字を伸ばしているアデバヨが候補に挙がった。
■最優秀ヘッドコーチ賞(COY):ニック・ナース(ラプターズ)
<対抗>
ブラッド・スティーブンズ(セルティックス)
フランク・ボーゲル(レイカーズ)
エリック・スポールストラ(ヒート)
リック・カーライル(マーベリックス)
昨季のファイナルMVPカワイ・レナード(現クリッパーズ)を流出しただけでなく、序盤戦でラウリーとサージ・イバカを多くの試合で欠きながら、ラプターズをイースタン・カンファレンス上位の成績へと導いたナースHCが選ばれた。
シアカムとバンブリートという若手デュオと共に、テレンス・デイビス、マット・トーマス、ロンデイ・ホリス・ジェファーソンといった新加入組をチームのシステムに溶け込ませて、イースト屈指の戦力を保持したことは称賛に値する。
対抗に挙がっているのはいずれもリーグ上位の成績を残しているチームの指揮官だが、ナースHCの貢献度と比較すると、やはりインパクトに欠けると言わざるをえない。