現地時間2月5日、NBAで4チーム間におけるトレードが合意に達したと『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者が報じた。
リーグの情報筋が同記者と『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者へ伝えたところ、計12選手と複数のドラフト指名権が動くという超大型トレードとなっている。
4チーム間におけるトレードは以下のとおり。
※チーム名は略称
■ロケッツ獲得
ロバート・コビントン(←ウルブズ)
ジョーダン・ベル(←ウルブズ)
2024年ドラフト2巡目指名権(←ホークス)
■ホークス獲得
クリント・カペラ(←ロケッツ)
ネネ(←ロケッツ)
■ウルブズ獲得
マリーク・ビーズリー(←ナゲッツ)
フアン・エルナンゴメス(←ナゲッツ)
エバン・ターナー(←ホークス)
ジャレッド・バンダービルト(←ナゲッツ)
ドラフト1巡目指名権2本
■ナゲッツ獲得
ジェラルド・グリーン(←ロケッツ)
シャバズ・ネイピア(←ウルブズ)
ケイタ・ベイツ・ディオップ(←ウルブズ)
ノア・ボンレイ(←ウルブズ)
ドラフト1巡目指名権(←ロケッツ)
スモールラインナップで戦うという大胆不敵な賭けに出たロケッツ
ジェームズ・ハーデン、ラッセル・ウェストブルックという“MVPデュオ”の周囲にエリック・ゴードン、PJ・タッカーといったサポーティングキャストを擁するロケッツは、リムプロテクターのカペラ、ベテランのネネという2人のビッグマンを放出。
ウルブズから獲得したベルはビッグマンではあるものの、203センチ97キロとパワーフォワードのサイズ。タイソン・チャンドラーとアイザイア・ハーテンスタインという7フッター(213センチ以上)がいるものの、主要ローテーションには入っていないため、スモールラインナップで戦うという大胆不敵な賭けに出たと言っていいだろう。
カペラは今季、平均32.8分13.9得点13.8リバウンド1.8ブロックを記録しているものの、カペラ不在の試合でロケッツは10勝1敗と大きく勝ち越していた。だが、このトレードを知ったゴードンが自身のツイッターに泣き顔の絵文字を投稿していたように、今後の展開が気になることは確か。
代わりに獲得したコビントンだが、『StatMuse』によると今季キャッチ&シュートから放たれた3ポイント成功率は34.2パーセントと低調。さらに、ウルブズはコビントン出場時のディフェンシブ・レーティング(100回のポゼッションにおける失点)が110.4。不在時は106.2とダウンしていただけに、この補強がどう影響するかは気になるところ。
このトレードが引き金となってデッドラインまでに頻発する可能性あり
成績不振のウルブズは、複数の選手を獲得したものの、今夏に再建へ乗り出すことが可能となった。ターナーの契約は今季限り、ビーズリーとエルナンゴメスは今夏制限付きフリーエージェント(FA)、バンダービルトは来季の契約がチームオプションのため、このトレードで獲得した選手がフィットしなければ、今夏に手放すことができる。
ナゲッツは再契約が困難と判断し、2選手を放出するという決断に至ったのだろう。もっとも、獲得したグリーン(解雇の可能性あり)とボンレイ、ネイピアは今季終了後に制限なしFA、ベイツ・ディオップは来季の契約がチームオプションとなっており、ウルブズと同様にフィットしなかった選手を手放すことが可能。
一方、キャップスペースに余裕があったホークスは、ターナーとドラフト1巡目指名権を放出して、待望のリムプロテクター(カペラ)を獲得。オールスターに初選出されたトレイ・ヤングを中心に巻き返しを図るホークスで、カペラは多くのプレータイムを手にすることだろう。
2022-23シーズンまで高額契約が残るカペラだが、イースタン・カンファレンスにはヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)やパスカル・シアカム(トロント・ラプターズ)、ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)といったチームの中心を担うビッグマンが君臨しているため、新天地でディフェンスの要として活躍できるか注目したい。
なお、トレードデッドラインは2月7日(現地時間6日)と間近に迫っている点、そして来季のサラリーキャップとラグジュアリータックス(贅沢税)支払いの基準額が今季を下回ることになると『ESPN』が報じていたことから、サラリー超過チームがこの数日間にサラリー削減へと動き出すかもしれない。