「全盛時とは程遠いプレーをしていたかもしれない。でもその時、少し電車に乗ればあの偉大なジョーダンのプレーを間近で見ることができたんだ」とコメント
4月20日(現地時間19日、日付は以下同)から『ESPN』で放送がスタートした“The Last Dance”は、1997-98シーズンのシカゴ・ブルズをフィーチャーしたドキュメンタリー。これが世界中のバスケットボールファンの間で話題となっており、1990年代にブルズへ6度の優勝をもたらしたマイケル・ジョーダン(元ブルズほか)の一挙手一投足に再び注目が集まっている。
1988年生まれのケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)もその1人で、先日公開された『ESPN』の“The Boardroom”の中でジョーダンの思い出について語った。大多数の人たちがブルズ時代の印象が強烈に残っているのだが、デュラントは2度目の現役復帰を果たしたワシントン・ウィザーズ時代を挙げていた。
「ジョーダンが何度も優勝し、数多くの栄誉を手にしてきたことは知ってる。別に俺はそういった彼の功績を悪くいっている訳ではない。でも個人的に、彼が俺の地元ワシントンD.C.でプレーしていた時に、すごくインスパイアされたんだ。ウィザーズ時代のジョーダンは、(ブルズでプレーしていた)全盛時とは程遠いプレーをしていたかもしれない。でもその時彼は、自分が住んでいる街でプレーしていたから、少し電車に乗ればあの偉大なジョーダンのプレーを間近で見ることができたんだ」。
2001-02シーズンに38歳で復帰を果たしたジョーダンは、ウィザーズで2シーズンをプレーして平均36.1分21.2得点5.9リバウンド4.4アシスト1.5スティールをマーク。ブルズ時代(平均38.6分31.5得点6.3リバウンド5.4アシスト2.5スティール)と比較すれば、衰えは隠せなかったものの、38歳を迎えた男が3シーズンのブランクを置いてプレーしたとは思えない数字を残したことは間違いない。
超人的な身体能力から繰り出されるダンクやダブルクラッチといったアクロバティックなプレーは影を潜めたとはいえ、円熟味を増したミドルレンジのポストプレー、フェイドアウェイジャンパーは健在で、リーグ有数の選手であり続けた。そしてデュラントはこう話していた。
「彼は歳を取っていたけど、すばらしいプレーをしていた。40歳手前だったが、彼が繰り出すミドルショットは衰えてなくて、1試合平均20得点以上を記録していたんだ。俺はウィザーズでプレーしていた当時のジョーダンに最も影響を受けたんだ」。
ショットの精度や得点について語っていたのは、いかにも技巧派のデュラントらしい。さらに、3ポイント全盛となった現代でもジョーダンはフィットできるのか、という話題になっても、デュラントはこう切り返している。
「彼ならどんな状況であろうが自身のゲームを適応できるさ。リーグのベストプレーヤーになるんじゃないかな。より多くのポゼッションを得て、より多くのことをこなすだろうね。もちろん、(この答えは)俺たちには分からない。でも彼は非常に優れたスキルを持つバスケットボールプレーヤーだからね。それに俺たちはこれまで、あのスキルレベルにはかなわないと言ってきたんだ」。
ジョーダンがウィザーズでプレーしていた当時、リーグにはケニョン・マーティン(元ニュージャージー・ネッツほか)のように2メートルを超える高さと強じんな肉体、さらには驚異的な身体能力を兼備したフォワードがおり、ジョーダンが点を奪うことに苦しんだことはあった。だがそこから得点する方法を見つけ出し、ジョーダンはショットをリングへと沈めていったことも忘れてはならない。