ハンドチェック・ルールの廃止によって、「リーグは大きく変わったよ」と指摘
5月18日(現地時間17日、日付は以下同)。ワシントン・ウィザーズのジョン・ウォールが『247 Sports』とのリモートインタビューに応じた。
この日は4月20日から配信がスタートした『ザ・ラストダンス』の第9、10話が放映される日。約1か月に渡って展開された1997-98シーズンのシカゴ・ブルズの追跡ドキュメンタリーの配信最終日となった。
このドキュメンタリーの主役はもちろん、マイケル・ジョーダン(元ブルズほか)だ。90年代にブルズを2度の3連覇へと導いたスーパースターは、2000年代に入ってウィザーズで2シーズンをプレーしたものの、キャリア平均30.1得点は歴代最多で、10度の得点王獲得も史上最多となっている。
そこで、「もし当時のジョーダンが現代NBAでプレーしたら?」という話題となり、ウォールは「ジョーダンは平均45得点、あるいは望めばいくらでも取れるだろうね」と切り出し、こう続けた。
「今は誰にも触れない。ハンドチェックできないからね。ハンドチェックがない今では、6フィート6インチ(198センチ)の男が(補足的な)センターに入ったりするんだ。リーグは大きく変わったよ。別に批判しているわけじゃないけど、もし得点できない、あるいは1対1で点を取ることができないなら、バスケットボールに属しちゃいけないのさ」。
ウォールが指摘したのはルール変更、ハンドチェック・ルールの廃止だった。これにより、04-05シーズン以降、ディフェンダーがマッチアップ相手の手や腕に接触するとファウルをコールされるようになった。このルール変更によって、ドライブを得意とする選手たちがリーグを席巻。自由自在にコートを暴れ回り、ショットやパスを繰り出せるようになった。
99-00シーズンにシャックことシャキール・オニール(元ロサンゼルス・レイカーズほか)が平均29.7得点で得点王に輝いてからというもの、センターが得点王を手にすることはなく、ここ6シーズンはジェームズ・ハーデン、ラッセル・ウェストブルック(共にヒューストン・ロケッツ)、ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)と、いずれもガードの選手がトップに立っている。
当時のジョーダンには美しさと決定力を兼備したフェイダウェイジャンパーというリーサルウェポンがあり、フリースロー試投数(平均8.8本)もガードとしては多かった。キャリア平均の3ポイント成功率は32.7パーセントと低いものの、「彼なら現代のプレースタイルに順応することができるだろうね」とウォールは話している。
『ザ・ラストダンス』の97-98シーズン(平均95.6得点)と、新型コロナウイルスのため中断している19-20シーズン(平均111.4得点)では平均得点に約16点、48分間あたりのポゼッションで見ても、前者(90.3回)と後者(100.2回)では約10回もの差があり、当時よりもリーグがオフェンシブになったこと、そしてハンドチェック・ルールが廃止となったことで、ウォールは“平均45得点”という具体的な数字を口にしたのだろう。