2020.12.20
シカゴ・ブルズが最後に優勝した1997-98シーズンを追跡したドキュメンタリー『ザ・ラストダンス』には、マイケル・ジョーダン(元ブルズほか)が持つ恐ろしいまでの競争心が描かれている。
ブルズの90年代後期3連覇を経験したロールプレーヤー、ジャド・ブシュラー(元ブルズほか)も5月9日(現地時間8日、日付は以下同)に『HoopsHype』へ掲載されたインタビュー内で、ジョーダンについてこう話していた。
「僕は(ジョーダンのプレーを実際に見ていない)若い世代の選手たちの多くが、マイケルに対して恐れを抱いてしまうものだと理解している。現代のリーグで、マイケルがそうだったように皆が本当に恐れてしまう選手がいるのかは、僕には分からない。相手チームの選手たちは本当に彼と対戦したくなかったくらいだからね。マイケル、それにスコッティ(ピペン/元ブルズほか)は、ディフェンス面で情け容赦ない選手だった。特にマイケルにはオーラが備わっていた。メンタル面でも相当タフだったし、あの恐ろしさを持った選手は、これまで見たことがないね」。
ジョーダンは通算10度の得点王、6度のファイナルMVP、キャリア平均30.1得点で、いずれも歴代トップの記録を保持する超がつくほどのスーパースターだが、チームメートたちをも巻き込み、チーム全体をチャンピオンチームへと引き上げる唯一無二の素質も備えていたと言っていいだろう。
そんな中、レジェンドのポール・ピアース(元ボストン・セルティックスほか)が自身の体験談から、独自の見解を示した。14日に『NESN』へ掲載された記事の中で、ジョーダンと同等レベルの競争心を持つ者として、セルティックス時代のチームメートの名を挙げていた。
「(ジョーダンよりも)激しく、容赦ない競争心を持つ者がいるのか、俺には分からない。でも俺はかつて強烈な競争心の持ち主とプレーしてきたんだ。彼の競争心はジョーダンと同レベルと言っていいかもしれない。それがケビン・ガーネット(元ミネソタ・ティンバーウルブズほか)なんだ」。
ピアースとガーネットはセルティックスで6シーズン、ブルックリン・ネッツで1シーズンの計7シーズンをチームメートとしてプレー。08年には優勝、10年にもNBAファイナルまで勝ち上がり、ロサンゼルス・レイカーズと第7戦までもつれる大激戦を演じた。ピアースはガーネットについてこう話している。
「彼は毎日、試合のように練習をしていた。『ザ・ラストダンス』でマイケルが見せていたように、練習でチームメートたちを刺激し、(レベルを引き上げようと)追いつめていたんだ。ケビンはまさにそんなタイプだったよ。もしハードに練習しないなら『今すぐにでも戦うぞ』というくらいにね。そしてそれを試合でも見せていたんだ」。
ピアース、レイ・アレン(元セルティックスほか)と共に“ビッグ3”を形成したガーネットは、セルティックス加入を機にディフェンス面におけるリーダー、そしてアンカーとして活躍。チームメートたちへ試合中にポジショニングを指示するなど、ディフェンス面における働きが光り、08年には最優秀守備選手賞を受賞。
ウルブズではなかなかプレーオフ1回戦を突破することができなかったものの、ガーネットはオールディフェンシブチームの常連で、高さと長さ、身体能力に加えて、持ち前の闘争心を前面に押し出し、コート上の誰よりも激しくプレーしていた。
「俺は(ガーネットに)感謝してるんだ。残りのキャリアでまた新たなレベルへと引き上げてくれた選手だからね。キャリアの早いうちに、彼とチームメートになっていたかったね。彼が持つ熱烈さ、それにあの競争心は、マイケル・ジョーダンと同じレベルだと思うね」。
ピアースの持論を聞いて、ジョーダンが賛同するかどうかは微妙だが、「セルティックスのカルチャーを変えた」とまで言われるガーネットだけに、近年では最高級の競争心を持つ選手だったと言っていいだろう。
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