「スティーブはフィルとニックスに招かれていた。だから我々には彼と話す機会が訪れることは本当にないと思っていた」とトラビス・シュレンクが明かす
2014年夏、ゴールデンステイト・ウォリアーズはマーク・ジャクソン前HC(ヘッドコーチ)を解雇し、新たな指揮官としてスティーブ・カーHCと契約。14-15シーズンから今季までの6シーズンで、カーHCは475試合を指揮して337勝138敗(勝率70.9パーセント)というすばらしい戦績を残してきた。
今季こそリーグワーストの15勝50敗(勝率23.1パーセント)に沈んでいるものの、昨季までの5シーズンはいずれも57勝以上挙げており、5年連続のファイナル進出を果たし、そのうち3度の優勝を飾っている。
ウォリアーズが目指す方向性と、カーHCが見事にフィットしたことで2010年代としてはベストな実績を残してきたのだが、14年の夏にカーHCは、シカゴ・ブルズ時代の恩師フィル・ジャクソンが球団社長を務めるニューヨーク・ニックスの指揮官に就任するというウワサがあった。
5月22日(現地時間21日、日付は以下同)に公開された“95.7 The Game”に、当時ウォリアーズでアシスタントGM(ゼネラルマネージャー)を務めていたトラビス・シュレンク(現アトランタ・ホークス バスケットボール運営部門代表兼GM)が出演し、こう振り返っている。
「スティーブはフィル・ジャクソンとニューヨーク・ニックスに招かれていて、我々は彼がニックスへ行くのだろうと感じていたんだ。だから我々には彼と座って話す機会が訪れることは本当にないと思っていた」。
ウォリアーズはその頃、マイアミ・ヒートとオーランド・マジックで約8シーズン指揮を執ったスタン・バン・ガンディを指揮官の候補にしていたが、事態が急変したという。
「オーランドでスタンとミーティングをしていた時だったと思う。スティーブがボブ(マイヤーズ/ウォリアーズGM)へ電話をかけてきて、心変わりしたと伝えて、我々と会って話がしたいと言ってきたんだ」。
これを機に、ウォリアーズは5月20日にカーHCと正式に契約を締結。ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンという3本柱と良好な関係を構築し、ウォリアーズをリーグきっての強豪チームへと押し上げた。
ちなみに、14年夏にニックスはデレック・フィッシャー(元ロサンゼルス・レイカーズほか)を指揮官として招へいし、バン・ガンディはデトロイト・ピストンズの指揮官に就任したものの、フィッシャーは約2シーズン、バン・ガンディは一昨季をもってそれぞれ解雇されている。