2000年代中盤に爆発力のあるスコアリングガードとして活躍した男
5月28日(現地時間27日、日付は以下同)。ギルバート・アリーナス(元ワシントン・ウィザーズほか)が『Reddit Q&A』で自身のプレーについてこう振り返っていた。
「俺のゲームは、ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)と似たものだった。彼が今こなしている偉大なスコアリングは抜きにしてね。俺は25歳の時にケガをしたことで、彼が見せているような見事なスコアリングをしようと進化しなきゃと思っていた」。
190センチ86キロのアリーナスは、NBAキャリア11シーズンで平均20.7得点3.9リバウンド5.3アシスト1.6スティールを残したスコアリングガード。独特なリズムから繰り出すドライブ、スムーズなプルアップジャンパーと3ポイント、そしてスルスルとディフェンダーを交わしてリング下まで持ち込むボールハンドリングからリング下でもショットを沈めてきた。
“エージェント・ゼロ”のニックネームで親しまれたアリーナスは、オールスターとオールNBAチームにそれぞれ3度選ばれた実績を残した。2006年12月18日のロサンゼルス・レイカーズ戦では、キャリアハイの60得点をマークするなど爆発力も魅力で、“The Hibachi”という異名も持つ。
ウィザーズ在籍時の05-06シーズンには平均29.3得点6.1アシスト2.0スティール、翌06-07シーズンには平均28.4得点6.0アシスト1.9スティールという好成績を残していたのだが、07年4月に左膝の半月板を断裂してしまい、その後は徐々に成績が下降。
10年にはロッカールームに拳銃を持ち込んだことでNBAの規則に抵触して問題となり、出場停止処分になるなど奇行も目立ったアリーナスだが、スコアリングガードとしての実績はなかなかのもの。
とはいえ、アリーナスが話したように、現在のハーデンは偉大なスコアラーと化していると言っていい。3シーズン連続で平均30得点以上をクリアし、3年連続の得点王もほぼ確実。ドライブ、3ポイント、そしてフリースローを中心に稼ぎ出し、猛威を振るっている。
アリーナスはフリースロー試投数で平均9.0本を超えたシーズンが2度あるのだが、ハーデンは8シーズン連続で達成しており、今季に至っては平均11.8本で無双と言ってもいい状態にある。自慢のステップバックスリーと合わせて、ファウルをもらう術に長けている点も見逃せない。
では、もしアリーナスが健康体で今プレーできるとしたら、どんなことを考えているのだろうか。
「今のNBAなら、俺はもっともっとドライブを仕掛けていくだろうな。皆が3ポイントラインに好奇心をそそられてるから。それに今では誰もリムを守らないし、シャックみたいな選手もいない」。
パワーフォワードだけでなく、センターでさえもアウトサイドに出て3ポイントを沈めるシーンもある現代では、ビッグマンがペイントエリアをパトロールし続けることはない。ポジションレスバスケットボールになったことで、スイッチを多用してミスマッチを多く作りだして優位に進めていくことがあるからだ。
シャックことシャキール・オニール(元レイカーズほか)のように、ペイントエリアに陣取り、にらみを利かせるような選手は実質不在のため、アリーナスがより多くのフリースローを獲得し、平均30得点をクリアする可能性は十分ありそうだ。