来季を7月中旬に終了し、選手たちを東京オリンピックへ出場させるのが狙いか
6月6日(現地時間5日、日付は以下同)。NBAは22チームによるシーズン再開プランがNBA選手会(NBPA)でも承認されたことで、8月1日に再開することが決定した。
22チームは7月1日からトレーニングキャンプをスタートさせ、8日に開催地のフロリダ州オーランドへと移動。その後8月1日からレギュラーシーズンを各チーム8試合こなすこととなる。
その後イースタン・カンファレンス、ウェスタン・カンファレンスのそれぞれ上位8チームが通常のフォーマット(各シリーズ4戦先勝)でプレーオフを行い、最長で10月13日までNBAファイナルを戦うというスケジュールとなっている。
だがここで気になるのは、来季(2020-21シーズン)のトレーニングキャンプが11月11日にスタートし、12月2日に開幕するというもの。NBPAのエグゼクティブ・ディレクターを務めるミシェル・ロバーツが「その日程を見て驚きました」と『ESPN』へ言うのも当然といえば当然だろう。
本来、NBAのオフシーズンは6月末から10月中旬までの約3か月半。その間にドラフトやフリーエージェント(FA)戦線、トレードなどが行われ、9月下旬になってメディアデイとトレーニングキャンプ、そしてプレシーズンゲームが数試合行われてきた。
NBAがスケジュールを前倒しにし、来季の開幕を早める背景には、来年7月23日から開幕予定の東京オリンピックがあるからだという。『The Athletic』のフランク・アイソラ記者、『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者が発した情報をまとめると、12月に開幕して7月中旬に来シーズンを終えることで、多くの選手たちをオリンピックに出場させることが可能になる点、そしてNFL(フットボール)の開幕と重ならないことができそうだからだという。
もっとも、現時点でオリンピック出場が決定しているのは12か国のうち8か国のみ。開催国の日本をはじめ、アメリカとアルゼンチン(アメリカ大陸)、スペインとフランス(ヨーロッパ)、ナイジェリア(アフリカ)、イラン(アジア)、オーストラリア(オセアニア)となっており、残りの4か国については『2020 FIBA Olympic Qualifying Tournaments(オリンピック最終予選)』(以降OQT)で勝ち抜いた国あるいは地域が出場することになる。
そのため、来季のNBAファイナルが7月中旬までに終了するスケジュールだとしても、オリンピックへの出場権をかけてOQTに参戦する国と地域の選手たちは複雑なものとなりそう。
OQTにはニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)やボグダン・ボグダノビッチ(サクラメント・キングス)を擁するセルビア、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)の母国ギリシャ、ジャマール・マレー(ナゲッツ)やシェイ・ギルジャス・アレキサンダー(オクラホマシティ・サンダー)がプレーするカナダが参戦予定であり、今回の大会はNBA選手不在の中で戦い抜くことになるかもしれない。
ただ、NBA側がオリンピックへ選手を出場させようとしていることは現地メディアによる報道をみれば明らか。OQTならびにオリンピック本戦に対して今後どのように対応していくかにも注目していきたい。