苦悩の中でもチームの勝利貢献のために奮闘するクーズマ
今シーズンは戦績49勝14敗でウェスタン・カンファレンス首位に位置付けているロサンゼルス・レイカーズ。7年ぶりのプレーオフ進出を決めた彼らは、球団として2010年以来の優勝を目指し、オーランドの隔離地域である“バブル”にて再始動した。その中でもキャリア3年目を迎えたカイル・クーズマは、悲願のチャンピオンシップのためにバスケットボールに情熱を注いでいる。
だがその情熱の裏にも、確かに苦悩は存在した。今季はロースターとコーチングスタッフが大きく入れ替わったことでチームの方針も変化し、ベンチスタートが多くなったクーズマ。昨季は出場した70試合中68試合でスターターを務めたが、今季はここまで54試合中7試合のみにとどまっている。しかし変則的な起用法と新しい役割に戸惑いを感じながらも、彼は成長を続けてきた。
『SB Nation』によれば、レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスというスーパースターの隣で役割を見出すことは、クーズマにとって困難を極めていることをレイカーズのフランク・ボーゲルHC(ヘッドコーチ)が次のように明かしたという。「クーズマは極めて難しい局面にいる。なぜなら彼と同世代の多くの選手たちは、重要な役割を確立させたスーパースターたちが存在しないチームに在籍しているからだ。彼にも確かにそういう役割を担える能力があるが、このチームにおいての仕事は異なるものになるだろう」。しかし同時にボーゲルHCは「彼は勝利の貢献のために、ほかの方法を見つけようとしており、その素晴らしい姿勢をこれまで貫いてきた」と、クーズマの姿勢を評価している。
現在クーズマは24歳。ダラス・マーベリックスのクリスタプス・ポルジンギス、ミネソタ・ティンバーウルブズのディアンジェロ・ラッセル、フィラデルフィア・セブンティシクサーズのベン・シモンズなど、彼と年齢が近い選手たちはチームの中心を任されている。一方で今季のクーズマはチームの3番手や、場合によってはロールプレーヤーとしての役割を期待されており、スポットライトを浴び続けることは少ない。それでもボーゲルHCは、「もし若手にとってオフェンスで得点を取ることが主な仕事なら、ディフェンス、リバウンド、ハッスルプレーといったものにはおそらく集中しない。だから長期的には、そういったプレーの数々は今後の彼のキャリアの支えになっていくだろう」と、クーズマが今季取り組んできた内容についてコメント。たとえ地味なプレーばかりであっても、それらはチームを支える仕事であり、活躍の幅を広げることが彼の今後のキャリアにとって重要になると語った。
今季は昨季と比べて平均出場時間も平均得点も大幅に減少し、新たな役割に適応することに苦悩してきたクーズマ。彼自身本来はやりたいプレーがあり、もっとチームの中心的な役割などを理想としているかもしれない。しかしその中でもチームの勝利を中心に考え、得点以外のことにも取り組んできた。そうした姿勢が、ボーゲルHCが言ったように、今後彼に大きなプラスとして作用していくことだろう。