カーメロ・アンソニー(ポートランド・トレイルブレイザーズ)は、17年間のキャリアで5球団を渡り歩いた。また、アメリカ代表やオールスターの経験を加味すれば、ロッカールームをシェアした名手は数えきれない。
メロは、ポートランドの地で見事復活を遂げた。かつては引退まで囁かれたが、プレーオフ進出をかけた直近のメンフィス・グリズリーズ戦でも、決定的なクラッチショットでチームに勝利を呼び込み、スコアリング能力と勝負強さは未だ錆びていないことを証明している。
Melo forever a shooter. CLUTCH. (via @espn) pic.twitter.com/IDSh0D14WQ
— SLAM (@SLAMonline) August 15, 2020
その試合後、メロは『Yahoo Sports』に対して、チームの“大将”に惜しみない賛辞を送った。
「デイム(デイミアン・リラード)は、俺にとって最高の選手だ。オンコートにおけるプレーとリーダーシップで、彼ほどチームの士気を高める選手には出会ったことがない」
「彼は本当にチームメートを気にかけている。素晴らしい行いだ。彼は俺が一緒にプレーした選手で一番の選手だよ」
アンソニーがともに戦ってきた選手の中には、ポール・ジョージ(ロサンゼルス・クリッパーズ)やジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)、チャンシー・ビラップス(元デトロイト・ピストンズほか)らに加え、2000年代を代表するレジェンド、アレン・アイバーソン(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)も名を連ねる。それでも、彼にとって、シーディングゲームズのMVPに代わる選手はいない。
「AI(アイバーソン)は、デンバーに在籍した頃、すでにキャリアの終盤にいたからね。確かに、俺は偉大な選手たちとプレーする機会に恵まれた。でも。デイムは試合、そしてチームメートを押し上げてくれる。だから、彼はトッププレーヤーなんだ」
アンソニーは近年、オクラホマシティ・サンダーやヒューストン・ロケッツで居場所を見つけられず、不本意なシーズンを過ごした。その後、約11カ月もコートから離れる時期もあり、ブレイザーズ合流当初はきっとナーバスになっていたに違いない。だが、その状況から救ったのも、他でもないリラードだった。
アンソニーがブレイザーズに合流してから約2週間が経過した頃、リラードはアンソニーを自宅のサンクスギビングに誘った。新しい街で右も左もわからず、まだ家族も合流してなかったアンソニーは、リラードの誘いを受け、彼の家を訪問。リラードの叔父にあたるオスカル・ジョンソンは、総勢75名が集まり、さまざまな料理が振る舞われた当日のアンソニーについて「本当に気持ちよく過ごしていましたよ」と回想し、「これが、デイムがトレイルブレイザーズという家族に歓迎する方法です」と、リラードがオフコートでも気遣いのできる男であることを説明した。
殿堂入りが確実視されているアンソニーでさえも絶大な信頼を置くリラード。アンソニーは、この恩にプレーで返しているように思える。プレーオフでもリラードのパスアウトからアンソニーの美しいジャンパーという、ホットラインが見れるに違いない。
文=Meiji