大逆転劇のきっかけとなったのは大ベテランのハズレムによるバトラーへの鼓舞
9月5日(現地時間4日、日付は以下同)。ミルウォーキー・バックスとマイアミ・ヒートによるイースタン・カンファレンス・セミファイナル第3戦が行なわれ、ヒートが115-100で制して無傷の3連勝。カンファレンス・ファイナル進出へ王手をかけた。
「このチームの連中は、俺が信じていることを信じてくれている。正直な話、俺たちは1日1日、ハードに取り組んでいるんだ。そして俺たちは相手がどこであろうと倒せるし、やり合うことができるのさ。負けると思ってプレーしたことなんて一度もない。それはヒートのやり方じゃない。ここにいる連中は皆そのことを信じてるからな」。
試合後にそう話したのはヒートが誇る闘将ジミー・バトラー。この日は12点ビハインドで迎えた第4クォーターに1人で17得点(ヒートは計40得点)をもぎ取り、バックスがこのクォーターに挙げた総得点(13得点)を上回る大暴れで逆転へと導き、ゲームハイの30得点に7リバウンド6アシストで勝利の立て役者となった。
🔥 @JimmyButler scores 17 of his 30 PTS in the 4th Q to put the @MiamiHEAT up 3-0! #NBAPlayoffs
Game 4 ⏩ Sun. (9/6) at 3:30pm/et on ABC pic.twitter.com/cckgKDl5JM
— NBA (@NBA) September 5, 2020
この日のヒートはケリー・オリニクが膝の打撲により欠場となり、マイヤーズ・レナードがプレーオフ初出場。約9分の出場で無得点2アシストに終わったのだが、バックスのペースで進んでいた試合のターニングポイントについてこう話している。
「UD(ユドニス・ハズレム)がジミーへこういったんだ。『コートに出たらフロアでベストプレーヤーになるんだ。何が起ころうと関係ない。俺たちを勝利へと導くんだ』ってね。そこでジミーはやってのけたんだ。フォーカスしてオフェンスではチームメートたちを巻き込んで、ディフェンスでも数字には残らない部分で光っていた。ジミー・バトラーはとんでもないリーダー。いいチームメートだし、すごい能力を持ったプレーヤーなんだ。コートの両エンドで高いレベルのインパクトを残しているよ」。
ヒート一筋キャリア17年目のハズレムは、チーム最年長の40歳。今年のプレーオフでは1試合もコートに立っていないものの、大ベテランとしての存在感は健在。第3クォーター残り約8分にバトラーの前で鼓舞し、大逆転劇のきっかけを作り出したのである。
この試合ではバトラーのほか、バム・アデバヨが20得点16リバウンド3アシスト2ブロック、ジェイ・クラウダーが5本の3ポイント成功を含む17得点に4リバウンド5アシスト、ゴラン・ドラギッチが15得点、タイラー・ヒロが13得点8リバウンド3アシストを奪取。
だがこのチームを率いるバトラーの存在感は強烈で、唯一無二だとレナードは言う。
「彼は究極の闘争心の持ち主。『いやあいつはちょっと激しすぎじゃないか? それともただのバカか?』と不思議に思う人もいるだろう。でもそうじゃない。彼は勝者なんだ。彼は周囲の選手たちにも自身と同じレベルでフォーカスし、努力し、エナジーを持ち込み、メンタル面でもフォーカスすることを求めるんだ。彼を見ていると、彼自身だけでなく、ほかの選手たちにも同様にベストなものを持ち込ませている。それがチーム全体に浸透しているんだ」。
バトラーのあふれんばかりの闘争心。それこそが、第4クォーター(40-13)にヒートが27点差でバックスを圧倒した原動力となったに違いない。この点差は1954-55シーズンにショットクロックが制定されてからプレーオフの第4クォーターでは史上最多の得点差という快記録となった。
NBAプレーオフのシリーズで、3勝0敗から敗退したチームは皆無なだけに、ヒートの2014年以来初のカンファレンス・ファイナル進出は濃厚。7日に行なわれるシリーズ第4戦で一気に決着をつけることができるか、注目していきたい。