「セルティックスで大きな部分を占める」と指揮官に言わしめたマーカス・スマート

スマートはラプターズとのシリーズでも貴重な働きを見せた[写真]=Getty Images

残り約1分で昨季覇者の猛追により同点にされそうだった窮地をスマートが救う

 9月12日(現地時間11日、日付は以下同)。ボストン・セルティックスはトロント・ラプターズとのイースタン・カンファレンス・セミファイナル第7戦を92-87で制し、マイアミ・ヒートが待つカンファレンス・ファイナルへと駒を進めた。

 この試合でエースのジェイソン・テイタムがいずれもゲームハイとなる29得点12リバウンド7アシスト、ジェイレン・ブラウンが21得点8リバウンド4スティール、マーカス・スマートが16得点6アシスト3スティール1ブロック、ケンバ・ウォーカーが14得点6リバウンド4アシストを記録。

 テイタム(22歳と192日)はプレーオフの第7戦という大一番で、史上2番目の若さで25得点10リバウンド5アシスト以上という好記録を打ち立てた。この記録を上回る唯一の男は、テイタムのアイドルであるコービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)。

 コービー(当時21歳と286日)は2000年6月5日に行なわれたポートランド・トレイルブレイザーズとのカンファレンス・ファイナル最終戦で25得点11リバウンド7アシストに4ブロックをたたき出し、その後自身初のNBAチャンピオンとなった。

第7戦でコービーに次ぐ若さで快記録を達成したテイタム[写真]=Getty Images

 ロースコアとなったこの試合。セルティックスは72-71で迎えた第4クォーター序盤に7連続得点を挙げて8点差をつけると、その後は同点に追いつかれることなく逃げ切りに成功。

 だが「何か偉大なことを成し遂げたいなら、勝利したいなら、物事はそう簡単にはいかない。俺たちはそのためにこうして戦っている」とテイタムが振り返ったように、ディフェンディングチャンピオンは最後まで決して諦めることなくセルティックスを攻め立てた。

 セルティックスは残り3分26秒で7点をリードしていたのだが、そこからラプターズがパスカル・シアカムカイル・ラウリーで5連続得点を奪い、残り1分21秒で2点差に詰め寄る。

 その後テイタムがショットをミスし、ラプターズは同点とすべく、ノーマン・パウエルがファストブレイクを仕掛けてリング下まで持ち込む。このショットが決まれば同点となり、試合がひっくり返る可能性も十分あると思われた中、スマートが背後から貴重なチェイスダウンブロックを浴びせた。

「俺は自分自身にこう言い聞かせたんだ。『彼ならダンクでくる。でもファウルを与えてはいけない。ショットを放つところに焦点を合わせてどっちがこのバトルで勝利するかを見せてやる』ってね」。

 スマートが決めた強烈なブロックを機に、ラプターズは得点することができず、セルティックスがテイタムとケンバのフリースローで追加点を挙げて最終戦までもつれたシリーズを制したのである。

「俺にはオールディフェンシブファーストチームに選ばれるだけの理由がある。そのことを心底信じているのさ」と振り返ったスマートは、2年連続で同チームに選ばれた守備巧者。パウエルのブロックだけでなく、シアカムやパウエルへの好守でも大きく貢献していた。

 190センチ99キロのパワーガードながら、スマートはセンターまで抑え込んでしまうユニークなスイッチディフェンダー。今季からチームメートとなったケンバもこう絶賛している。

「あのブロックは本当にスペシャルなものだった。信じられなかったね。でも、それこそ彼がオールディフェンシブチームに選ばれた理由でもある。彼はそれを毎晩見せているんだ。本当に、すごく多くの重要なプレーを決めてくれた。コートの端で、一段と上のレベルに達していたよ」。

 そしてブラッド・スティーブンズHC(ヘッドコーチ)も「ハッスル、ブロック、タフネス……彼はこのチームでも大きな部分を占めている。彼はこの組織において重要なパートなんだ」と最大級の賛辞を送った。

 セルティックスにはテイタム、ケンバ、ゴードン・ヘイワードというオールスター経験者にブラウンという攻防兼備の実力者がいるのだが、チーム最古参のスマートの働きも見逃せない。

 16日から始まるヒートとのイースタン・カンファレンス・ファイナルでも、セルティックスの屋台骨として活躍してくれるに違いない。

スマート(右)はイースト決勝でバトラー(左)とのマッチアップにも期待がかかる[写真]=Getty Images

モバイルバージョンを終了