2020.08.18
新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。6月に入り、7月31日からフロリダ州オーランドで22チームが参戦し、シーズンを再開することが決まった中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階
所属:ボストン・セルティックス(イースタン・カンファレンス3位)
総合評価:A
■プロフィール
生年月日(年齢):1998年3月3日生まれ(22歳)
ポジション:フォワード
身長/体重:203センチ/92キロ
NBAキャリア:3年目
<今季ここまでの功績>
オールスター選出(初)
月間最優秀選手:1度(2月)
週間最優秀選手:1度
<2019-20シーズン 個人成績>
平均出場時間:34.6分(リーグ19位)
平均得点:23.6得点(リーグ16位)
平均リバウンド:7.1本
平均アシスト:2.9本
平均スティール:1.4本(リーグ20位)
平均ブロック:0.9本
フィールドゴール成功率:44.8%
3ポイント成功率:39.8%
フリースロー成功率:80.6%
■主要項目におけるシーズンハイ(相手チーム名は略称)
出場時間:47分53秒(20年2月14日/対クリッパーズ)★
得点:41得点(2度)★(キャリアハイタイ)
リバウンド:13本(20年3月1日/対ロケッツ)
アシスト:7本(19年12月2日/対ニックス)★
スティール:4本(3度)
ブロック:3本(2度)
フィ―ルドゴール成功数:16本(20年1月12日/対ペリカンズ)★
3ポイント成功数:8本(20年2月26日/対ブレイザーズ)★
フリースロー成功数:13本(20年2月24日/対レイカーズ)★
★=キャリアハイ
昨夏のワークアウトでミドルレンジ主体のゲームから3ポイントとペイントアタックのゲームへとプレースタイルを変えたテイタムは今季、主にパワーフォワードとしてスターター出場し、主要成績で軒並みキャリアハイを記録。
3ポイント試投数は昨季の平均3.9本から7.1本とほぼ倍増。成功数も2.8本と自己最高の数字を残しており、出場した59試合のうち58試合で2ケタ得点を奪取。ケンバ・ウォーカー(平均21.2得点)、ジェイレン・ブラウン(同20.4得点)を差し置いて、セルティックスのトップスコアラーへと進化を遂げた。
圧巻だったのは2月。チームが9勝3敗と大きく勝ち越す中、テイタムは月間平均30.7得点(リーグ5位)に8.0リバウンド3.2アシスト1.2スティール1.3ブロックをマーク。フィールドゴール成功率49.4%、3ポイント成功率48.1%と絶好調で、リーグ2位となる平均4.3本もの長距離砲を沈める大暴れ。
テイタムが30得点以上を残した14試合でセルティックスは11勝3敗と大きく勝ち越しており、22歳の若きフォワードの働きが勝利に直結していることは見て取れる。
そして1月31日にオールスターゲームのリザーブ選手が発表され、キャリア3年目でうれしい初選出。「僕はバスケットボールを見始めてから、ずっとNBAのオールスターゲームを見てきた。コービー(コービー・ブライアント/元ロサンゼルス・レイカーズ)のオールスタージャージーをいつも手にして、いつか僕も選ばれるようにと願ってたんだ。21歳でそれが現実になったの? 言葉が出ないよ。特別な気分だね」と『ESPN』へ話していた。
イースト3位という高順位で今季の第二幕を迎えるテイタムについて、新型コロナウイルスの感染リスク、そして今季終了後に超高額な延長契約を結ぶ前にケガを防ぎたいのではないか、といった理由から、7月末から行われる“シーディングゲーム”(順位決定戦)とプレーオフへ参戦しないのではないか、というウワサもあったが、複数の現地メディアがそのウワサを否定。ジェイ・ララナガAC(アシスタントコーチ)はテイタムのコンディションについて「シーズン中盤時期の状態にある」と話していたと『The Boston Globe』も報じており、エーススコアラーとしてフロリダ州オーランドへと乗り込むことが期待されている。
先日、新しい髪型をSNSで披露したテイタムが憧れを抱いているのはコービー、ポール・ピアース(元セルティックスほか)というレジェンドと、カワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)というリーグ屈指の実力者。
自身のツイッターのヘッダーには若き日のコービーの写真をセットし、新たに飼うこととなったフレンチブルドッグにはコービーのミドルネームである“ビーン”と名付けるなど、コービーへの憧れは強い。
だがセルティックスのレジェンドであるピアースも、テイタムを語るうえで忘れてはならない存在。5月12日に公開された『ALL THE SMOKE』へゲスト出演したテイタムは「彼(ピアース)とはしょっちゅう話してるよ」と切り出し、こう続けていた。
「僕は彼を観て育ってきたからね。プレーの中からいくつか盗み、自分のゲームに取り入れた選手の1人なんだ。彼としゃべることによって、僕は少し意見を耳にし、元気づけてくれるような言葉をかけてもらうんだ。ピアースのような人から話を聞けるのはいいこと。それに彼は、『次の偉大なセルティックになれる』と言ってくれるんだ」。
そして昨季トロント・ラプターズをチーム史上初のチャンピオンへと導き、自身2度目のファイナルMVPを手にしたレナードについては「カワイは本物だ。派手ではないけれど、彼は仕事を遂行する」と称賛。そして「彼がコートに立った時、攻防両面でどれほどハードに打ち込んでいるか、その姿を観るのが好きなんだ。僕がプレーしていない時に、クリッパーズの試合を観戦するのも好きだよ」と今年5月に『ClutchPoints』へ話している。
「カワイはリーグでもトップ2か3に入る選手だ。僕もそういう瞬間を手にしたい。リーグトップレベルの選手たちと競争するためにもね」と語るテイタムだが、その評価は着実に高くなってきている。
「彼は信じられないプレーを続けている。彼のことを誇りに思うし、今でもどんどんうまくなってるんだ。これから先も、最高のパフォーマンスを見られるさ」とケンバが『The Athletic』へ語れば、2月26日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦でキャリアハイとなる8本の3ポイントを沈めた試合後に「本当に優れた選手というのは、タフショットでも少しイージーなショットに見えてしまうことが何度かある。彼は今、すごくいいリズムをつかんでいることは間違いないね」と知将ブラッド・スティーブンズHC(ヘッドコーチ)も手放しで称賛。
エースとして迎える今年のプレーオフで、テイタムはセルティックスをどこまで勝ち進めることができるか。約1か月後に迫ったシーディングゲームまで、楽しみに待ちたいところだ。
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