ドワイト・ハワードは現在、ウエスタンカンファレンスの覇者となったロサンゼルス・レイカーズの一員として、NBAファイナルを戦っている。ここ数試合はコンディションと熟練されたディフェンスでの貢献度が評価され、スターターにも抜擢。レブロン・ジェームズ、ラジョン・ロンドとともに、“ベテランBIG3”としてチームを牽引している。
3度の最優秀守備選手賞受賞プレーヤーはレブロンと同様、帰らぬ人となった盟友コービー・ブライアントのレガシーを宿し、コートに立ち続けている。
そのハワードには今年2月、日本円に換算して1000万円単位のスニーカー契約のオファーがあった。しかし、NBAのスニーカーシーンに深く精通する『ESPN』のニック・デパウラによると、ハワードはコービーのシグネチャーモデルを履き続けるために、巨額のオファーを断ったようだ。
ハワードがレイカーネーションに所属するのは、今シーズンが初めてではない。同選手はヒューストン・ロケッツに在籍する前の2012年、4球団が絡む大型トレードでレイカーズへと加入。だが、当時は怪我に苦しみ、不動のエースであったコービーとの不仲説も広く噂され、ハワード自身も「分かり合えない時期があったのは事実だ」と、スター選手同士の難しい関係があったことを認めている。
それでも両者の間には、リスペクトがあった。2008年、ドリームチームとして北京オリンピックでともに優勝を経験。また、今シーズンのオールスターウィークエンドにおけるダンクコンテストでは、コービーにトリビュートを捧げるスーパーマンの姿のハワードが大きな話題となった。
ハワードは過去に、コービーに教えを乞うたことがあるそうで、このときの教訓が選手としての自分をさらに押し上げたと振り返る。
「僕は、より良い選手になるためには何をするべきか、彼(コービー)に尋ねたことがある」
「でも、彼の返事はこんな感じだったんだ。『どういう意味だ? お前はすでに、世界でもベストな選手の一人じゃないか。今までしてきたことを続ければいい、一所懸命にプレーして、エルボージャンパーやバンクショットを練習すればいい』ってね。だから、彼に1日に何本ショットを打っているか尋ねてみた。すると、彼は1日に1000本のショットをメイクしていると言ったんだ。だから、俺もそうすることにした。1日に1000本のショットを決める。その翌年の2010-11シーズン、俺はMVP争いで2位になったんだ」
「俺はこの教えを絶対に忘れない。彼がそう言ったのは、俺に全てのジャンプショットを習得してほしかったからじゃない。それは意識のことだったんだ」
レイカーズ悲願の優勝の鍵は、レブロン、アンソニー・デイビスに続く“3人目の支配者”だ。コービーのシグネチャーを履いたビッグマンが、再びインサイドで存在感を示し、サードオプションへと名乗りを上げる。
文=Meiji