2020.11.26
アレン・アイバーソン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)と、コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)。1996年のドラフト同期(アイバーソンは1位、コービーは13位指名)である2人は、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)からスターの座を継承し、リーグに新たな時代を築き上げ、そして令和の時代を躍動する現役選手たちに進むべき道を提示した。
9月25日(現地時間24日、日付は以下同)、アイバーソンは、マット・バーンズ(元ロサンゼルス・クリッパーズほか)とスティーブン・ジャクソン(元ゴールデンステイト・ウォリアーズほか)がMCを務めるPodcastのプログラム「ALL THE SMOKE」に出演。その一幕で、長らくライバルとして比較される存在だったコービーに言及し、コート外で距離を縮めたかったという胸の内を明かした。
「俺は彼(コービー)と個人的な関係はなかった。でも、キラーたちが他のキラーをどうリスペクトするか、わかるだろ。俺たちは、そういう間柄だったんだ。彼は俺が誰であるかを知っていたし、俺も彼が誰だかを理解していた。彼が俺を押し上げ、俺も彼に同じ影響を与えたんだ」
例えば、Netflixで放送されたドキュメンタリー『マイケル・ジョーダン:ラストダンス』の作中で、ジョーダンはかつてのライバルについてコメントを求められた際、直接的な褒め言葉を使用せず、独特の言い回しで彼らを評価していた。また、“メールマン”の異名を持つカール・マローン(ユタ・ジャズ)は、現役当時に犬猿の仲と言われていたスコッティ・ピッペン(元ブルズ)を自身が選ぶ歴代ベスト5に選出している。アイバーソンの言うレジェンド同士のリスペクトの仕方もこれらの例と同様に、互いの実力は認めながらも、どこか相手を素直に褒めることができない“もどかしさ”があるのだろう。
そして、AIは先の言葉に続けて、こう語った。
「俺は、周囲の人々から彼の偉大さを聞けば聞くほど、彼といい関係性を築きたかったと思うんだ。俺もそのエネルギーを感じたい。彼は究極の存在だったんだ」
アイバーソンが、コービーのことを「キラー(=勝負を決定づける強者)」と呼んだのは、これが初めてのことではない。アイバーソンは「The Player’s Tribune」において、亡きコービーに向け、以下のメッセージを送っている。
「君(コービー)は、俺が今までの試合で見たなかで、最もタフな男だった。俺が出会ったなかで、最も冷血なシリアルキラーだ。過去最高のライバルだったんだ」
「ルーキーイヤーのことだ。君が移動中に、俺が35得点を決めたニックス戦のハイライトを見たときのストーリーを覚えているよ。君はひどく怒った様子でホテルの部屋を転がりまわり、まるでCIAのように俺のことを調べ始めたらしいじゃないか。『俺にAIのファイルをよこせ』、そんな感じだったんじゃないかな。凶悪なホオジロザメが、どうやって太平洋のアザラシを狩るかを考えているかのようにね」
アイバーソンとコービーは間違いなく、2000代のNBAを代表するプレーヤーである。現役時代、コート上で数々のハイライトを生み出してきた2人は、一定の距離を保ちながらも、心の底では互いの実力を認めていたはずだ。
コービーが天国へと旅立ってしまった今、2人が仲睦まじそうに話す姿を目にすることはできない。しかし、アイバーソンのコービーへ対する尊敬の念は、これからも決して色褪せることはないだろう。
文=Meiji
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