「ダラスでの一件を境に、僕のことをリーグから追い出そうとしたヤツらさえいたんだ」とロンドがこれまでの苦悩を明かす
ロサンゼルス・レイカーズが2010年以来、通算17度目のチャンピオンとなり、NBAの2019-20シーズンは幕を下ろした。
レイカーズはレブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビスという超強力タッグの周囲をケンテイビアス・コールドウェル・ポープ、ダニー・グリーン、ドワイト・ハワード、カイル・クーズマ、アレックス・カルーソ、マーキーフ・モリスといった選手たちで囲み、約1年間に及んだ長丁場を制してみせた。
そして今季のレイカーズ優勝を語るうえで、忘れてはならないのがラジョン・ロンドの活躍だろう。キャリア14年目のベテラン司令塔は、ベンチから効果的な働きを見せ、ボストン・セルティックス在籍時の08年以来、自身2度目の優勝。
プレーオフ期間中、レブロンはかつて敵としてプレーオフでも戦ってきたロンドについてこう評していた。
「相手のディフェンスを的確に分析することができ、ゲームがどういう流れになっているのかも把握できる。このリーグでそんなことができるヤツはそう多くない。特にポストシーズンでは本当に貴重なんだ。(ロンドが)チームにいることで、間違いなく助けてくれる」。
08年以来、12年ぶりのチャンピオンとなったロンドは、優勝決定後の会見で「僕にとってはものすごく長かったね。この場に舞い戻り、自分の評価を取り戻すべくやってきた。このチャンピオンシップにおいて、重要な役割をこなすことができたことは本当に最高だし、自分の人生において、これから先もずっと忘れないだろうね」と喜びを噛みしめていたのだが、一歩間違えれば引退していた可能性もあったという。
シーズン終了後、『ESPN』のザック・ロウとレイチェル・ニコルによるポッドキャスト番組「The Full 48」で、ニコルはロンドが引退を考えていたことを明かした。
「数年前、彼はあと少しで引退していたと教えてくれた。ダラスでリック・カーライル(ヘッドコーチ)との間に大惨事が起きたからだと言ってたの」。
ロンドはセルティックス在籍9年目となった14-15シーズン途中にトレードでダラス・マーベリックスへ移籍。当時のマブスにはダーク・ノビツキー(元マブス)をはじめ、タイソン・チャンドラー(現ヒューストン・ロケッツ)やモンテ・エリス(現無所属)、JJ・バレアといった選手が在籍していたのだが、ロンドは思うようにプレーできず、指揮官と対立してしまったことで“問題児”というレッテルを張られてしまった。
15年夏にフリーエージェント(FA)となったのだが、ニコルは「その年のオフシーズン、彼にはわずか2チームしか声がかからなかったと言ってた。そこで彼は『そうか。もうこれ以上、こんなことをするなんて嫌だね』と考えて、バスケットボールから離れていたかもしれないと教えてくれたの」と口にした。
当時について、『ESPN』のジャッキー・マクマラン記者はロンドが「ダラスでの一件を境に、僕のことをリーグから追い出そうとしたヤツらさえいた。急に、誰も僕と触れようとしなかったんだ」と漏らしていたと報じている。
その後ロンドはサクラメント・キングス、シカゴ・ブルズ、ニューオーリンズ・ペリカンズにそれぞれ1シーズン所属。ペリカンズではデイビスやドリュー・ホリデーらと共にプレーオフ1回戦を突破する立て役者の1人となり、評価を取り戻し始めたやさきにレイカーズへ加入。昨季もケガに泣かされたものの、レイカーズと再契約を結び、今季チャンピオンチームのキープレーヤーとして見事な活躍を見せたのである。
ロンドは来季の契約(プレーヤーオプション)を破棄して制限なしFAになることが確実視されている。はたして、2度目の優勝を飾ったロンドにはどれだけのチームからオファーが届くのか。少なくとも、5年前のようなことにはならないはずだ。