今季のオフシーズン、ロサンゼルス・クリッパーズからロサンゼルス・レイカーズへ禁断の移籍を果たしたモントレズ・ハレル。同選手はライバル球団への移籍の理由を問われると、「正しい決断だと感じた。勝利のためには何でもするし、優勝を味わいたい」と答え、チャンピオンリング獲得に意欲を示した。
まだまだケミストリーの構築には時間を要しそうだが、昨季のシックスマン賞受賞者は、すでに新天地でも実力を発揮している。ルイビル大学出身のパワーフォワードは、プレシーズン4試合を終え、1試合平均25.7分間のプレーで12.8得点8.3リバウンド2.3アシストを記録。移籍したドワイト・ハワードやジャベール・マギーの穴を埋めるには十分過ぎるスタッツを残している。
偶然にもハレルのレイカーズデビューは、古巣クリッパーズとの対戦となった。試合前にはベストパートナーであったパトリック・ビバリーと抱き合うシーンも見られ、内容もダブルダブルとさることながら、一部では同試合でハレルが着用したシューズが、クリッパーズに対する強烈なメッセージの表れであるとの憶測が飛び交った。
ハレルがプレシーズンの開幕戦に選んだ一足は、リーボックの名作『アンサー 4』、通称“ステップオーバー”と言われるモデルだった。
.@MONSTATREZZ made his Lakers debut in the Reebok Answer 4. pic.twitter.com/vufO6aMXqP
— SoleCollector.com (@SoleCollector) December 12, 2020
言わずもがな、同モデルはアレン・アイバーソンのシグネチャーモデルとして知られているが、ブラック/ホワイトのカラーウェイはアイバーソンが現役時代、当時ロサンゼルス・レイカーズに所属していたタロン・ルーをクロスオーバーで振り切り、倒れ込んだルーの上を跨いでいく名シーンで着用したものだ。
勘のいい人はこの時点でお気付きだろうが、ハレルが昨季まで籍を置いたクリッパーズの現ヘッドコーチは他でもない、タロン・ルーである。アイバーソンにとってはハイライトでも、ルーにとってあのシーンは不名誉な黒歴史。ルーは昨シーズン、ドック・リバースのアシスタントコーチとしてクリッパーズに在籍しており、一方のハレルはコーチ陣と良好な関係を築けていなかったと言われている。2年1900万ドル(約20億円)という実力に見合わない年俸を受け入れての移籍は、古巣への当て付けという見解が強く、もしかするとハレルはクリッパーズとの対戦を心待ちにしていたのかもしれない。
ルーにとって、『アンサー 4』の“ステップオーバー”は、言わばトラウマのような存在。それをハレルがクリッパーズとの最初のゲームで着用するとは、偶然にしては出来過ぎているストーリーのように思えてしまう。
文=Meiji