Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
いよいよ開幕を直前に控えるNBA2020-21シーズン。例年のようなお祭り騒ぎのスタートとはいかないが、それでも各球団はタイトル獲得、プレーオフ進出などそれぞれの目標を目指し、プレシーズンマッチでロスターの最終決定に尽力している。
今季のオフは、忙しなかった。従来のスカウティングもできなければ、稼働時間にも制限があったのは紛れもない事実。それでも市場には次の所属先を探すフリーエージェント(FA)の選手たちが現れ、球団間ではトレードの交渉が飛び交った。
オフシーズンの動きをもとに、各球団の再編プランを評価した『HoopsHype』のランキングでは、フロントの決定が冷静に考察されている。前回はワースト5編と題し、芳しい補強が見受けられなかった球団をピックアップ。今回は、彼らとは裏腹にチーム力の向上に成功した上位5球団のオフの動きを振り返っていく。
昨シーズンのチャンピオンは、これ以上にないオフを過ごしたと言える。なぜなら、レイカーネイションは絶対的エースのレブロン・ジェームズと契約を更新し、アンソニー・デイビスと長期大型契約を結ぶことを切望していたからだ。
一方で、ベンチメンバーを含め、ロスターもさらに層が厚くなった。ロンドやハワード、グリーンらベテラン陣が去る一方で、昨季のシックスマン賞の最終候補3人より、ハレルとシュルーダーの獲得に成功。見事、若返りにも成功している。
また、ADのパートナーに技巧派のガソルを並べるプランは、レイカーズの驚異的なオフェンスにさらなるバリエーションをもたらすだろう。ただ、ガソルの補強は大きな失敗ではないにしろ、唯一、疑問符の残るものでもある。
36歳のセンターは昨年、プレーヤーとしての衰えが顕著に見られた。また、2年契約にはチームオプションが付属しておらず、もし来年、ハレルがプレーヤーオプションを行使した場合、チームは十分なサラリーキャップが確保できず、2021年のマーケットで有望なFA選手の獲得が難しくなる。
それでも、現在のラインアップを見ると、これ以上の補強の必要性を感じさせないほどの完成度の高さだ。2連覇に向けて、磐石の体制を築いたと言える。
NBA屈指の敏腕、ダリル・モーリーのフロント加入は、シクサーズに大きな変化をもたらした。マーケットでのアグレッシブな姿勢と思い切りのいい再編術は、球団をより高みへと連れて行くことになるだろう。
ホーフォードをグリーンに、リチャードソンをカリーに置き換え、ジョエル・エンビードのバックアッパーにはハワードを配置。優勝歴、代表歴のあるベテランの加入は、シクサーズに欠けていた経験と落ち着きをもたらしてくれるはずだ。
特に、ホーフォードの放出は、モーリーの最善手だった。なぜなら、3年8100万ドル(約84億円)のサラリーキャップを開放しただけでなく、グリーンはベン・シモンズのパートナーに求められていたシューティング性能とディフェンス力の双方を兼ね備える選手だからだ。拮抗した場面での対応、ロッカールームでの立ち振る舞いなど、若手は3球団で優勝を経験したグリーンから多くのことを学べるに違いない。
さらに、ホーフォードのアウトにより、新ヘッドコーチのドック・リバースは、くすぶっていたトバイアス・ハリスを主戦場のパワーフォワードに戻すことができる。これによりハリスがロサンゼルス・クリッパーズ時代の輝きを取り戻すことができれば、シクサーズはリーグの覇権争いに名乗りを上げるだろう。
ゼネラル・マネージャー(GM)のデイビッド・グリフィンはこの秋、リーグでもベストな手腕を披露した人物のひとりだろう。
ペリカンズは4球団が絡むトレードにおいて、長年チームの看板を背負ってきたドリュー・ホリデーを失った。しかし、その対価としてエリック・ブレッドソー、スティーブン・アダムス、さらには2つのドラフト1巡目指名権と2つのスワップ権を獲得することに成功。ヤニス・アデトクンボの脇を固める必要があるミルウォーキー・バックスからホリデーの価値を上回る手札を引き出し、前所属球団でスターターを務めた実力派を迎えたうえ、若手が主役を担うペリカンズのロスターにより明るい未来を示した。
また、エースのブランドン・イングラムとの契約延長もオフのハイライトのひとつとして言及しないわけにはいかない。同選手は昨季、1試合平均23.8得点をマークしてチームのオフェンスをけん引。また、初のオールスター選出に最優秀躍進選手賞受賞と、遂に内に秘めていたポテンシャルが本格的に開花した。
今季はザイオン・ウィリアムソンもフルスロットルで試合に臨める。昨年のマイアミ・ヒートのようなダークホースがペリカンズだったとしても、驚く者はいないだろう。
昨シーズン、下馬評を覆す成績を残し、台風の目となったサンダー。しかし、現在地からの前進を選ぶことはせず、球団は“解体”という明確な目標を持ってオフに望んだ。
その結果、サンダーはポールのリーダーシップ、アダムスのタフネス、ガリナリの得点能力、シュルーダーのプレーメイキングなど、原動力の大部分を失った。きっと、サム・プレスティGMも名残惜しさがなかったわけではない。だが、大胆な行動からは確固たるビジョンが感じられ、市場で大きな収穫を得た。
サンダーは、このオフシーズンだけで保護されている4つの1順目指名権を獲得した。これにより、サンダーは直近7年間で18のドラフト1順目指名権を所有することとなり、2順目指名権まで考慮すれば、その数は31にも達する。
これにより、サンダーは有望なルーキーを迎えることもできれば、ドラフト指名権をパッケージにして、トップクラスの選手とトレードすることも可能になり、来年以降のオフで自由自在に立ち回ることができるようになった。2020-21シーズンは我慢の1年になるはずだが、数年後にはケビン・デュラント、ラッセル・ウェストブルック、ジェームズ・ハーデンが在籍した2010年代初頭のように、再びウェスタン・カンファレンス上位の仲間入りを果たすことになるはずだ。
直近の3シーズン、最高勝率が3.5割と低迷期にあったホークスだが、遂に長いトンネルの出口が見えた。トラビス・シュレンクGMは、このオフシーズンを利用し、チームにプレーオフ進出が現実的な優れたロスターを用意することに成功した。
エースのトレイ・ヤングとともにスターティング5に名を連ねるのは、ジョン・コリンズとクリント・カペラ、そして新加入のボグダノヴィッチ、ガリナリになるだろうか。攻守ともに非常にバランス感のあるラインアップで、バックアッパーにはロンド、ダン、ケビン・ハーター、デアンドレ・ハンターと、贅沢なセカンドユニットが控えている。
また、ケガの影響でデビューが遅れているオコングも、新人賞候補に名を連ねる可能性を秘めた逸材だ。全体6位指名を受けたUSC出身のセンターは、NCAAのオールPac-12ファーストチームに選出され、昨年、平均16.2得点、8.6リバウンド、2.7ブロックの好成績を残した。203センチの長身とは思えないフットワークの良さとリムプロテクターとしての存在感、そしてピック&ロールからの豪快なボスハンドダンクなどから、現役選手ではマイアミ・ヒートのバム・アデバヨと比較されることが多く、ポテンシャルが爆発すればスターターに定着しても不思議ではない。
ボグダノヴィッチをやや買い被りすぎという意見もあるが、それは裏を返せば同選手への期待の表れでもある。順当にいけば、4年ぶりのプレーオフ進出は射程圏内だ。
文=Meiji
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