2020.12.11

ブルックリン・ネッツがシティエディションにアート界の巨匠バスキアを起用

ネッツが伝説のアーティスト・バスキア氏(写真右)のデザインを反映したユニフォームを発表した(写真は昨シーズンのユニフォーム)[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 NBAは、2017-18シーズンよりナイキとジャージサプライヤー契約を結んでいる。それを機に登場したシティエディションは、ホーム&アウェイモデルとは一線を画し、本拠地を置く都市のアイデンティティを表現した特別なユニフォームとして脚光を浴び、マイアミ・ヒートの“バイス”モデルを筆頭にファンからも人気を集めている。

 2020-21シーズンの開幕をまもなくに控えるなか、各球団は今季着用するジャージを発表。そして、その中からまたひとつ、名作入りが確実視されるモデルが誕生した。

 ケビン・デュラントカイリー・アービングという最恐オフェンス陣を擁して悲願の優勝を狙うブルックリン・ネッツは先日、グラフィティアート界の巨匠、ジャン=ミシェル・バスキアのデザインを採用したシティエディションを発表した。そのデザインはクラブ公式のSNSなどで確認可能だ。

 バスキアは、1960年12月22日にブルックリンで生まれた。プエルトリコ系移民の母親とハイチ系移民の父親を両親に持つバスキアは、若くからアートを愛し、70年代後半に当時白人至上主義だったニューヨークのアート界に彗星の如く現れ、わずか10年間のキャリアでアンディー・ウォーホルとの合作を含む数々の名作を残し、この世を去った伝説のアーティストである。

 一見、子どもの落書きのように見えるチープなモチーフを規則性なく描き、そこに小さなメッセージを散りばめる唯一無二のスタイルは、政治や人種差別など、アメリカに蔓延する社会問題へ一石を投じたものだと解釈されている。ブラック・ライブズ・マター運動が国際化するなか、ネッツが地元のレジェンドであるバスキアとともにコートに立つことは、球団として大きな意義があり、そのアティチュードの表れだと言える。

 そんなネッツのシティエディションには、バスキアへの賛美が凝縮されている。胸元のフォントは、バスキア本人の特徴的なレタリングを採用し、サイドに施されたマルチカラーのプリントは、特徴的な色使いとかすれ具合だけでバスキアのキャンバス画を彷彿とさせる。また、そのデザインはショーツにまで伸び、右足の裾上部にはバスキアの最も代表的なクラウンのモチーフが配置されている。

 文化の坩堝・ブルックリンに拠点を置くネッツだからこそなし得た、バスキアデザインのシティエディション。日本では六本木で開催された大規模な回顧展や前澤友作氏がコレクションしていることでも知られるアーティストだが、NBAのジャージコレクターであれば是が非でも所有しておきたい1枚だろう。

文=Meiji

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