ジョン・コリンズ、デアンドレ・ハンター、キャム・レディッシュらが着々と成長を続け、2016-17シーズンぶりのプレーオフ進出を目指すアトランタ・ホークス。その若きチームの中心選手が、キャリア3年目を迎えたトレイ・ヤングだ。
今シーズンは1試合平均26.2得点(リーグ12位)、8.8アシスト(リーグ4位)というトップクラスのスタッツを残し、NCAAで得点王とアシスト王をダブル受賞した実力を遺憾なく発揮。特に、持ち前のスコアリング性能にはさらに磨きがかかり、詰むことのできない悩みの種として対戦相手を翻弄している。
ヤングのファウルドローンについてスティーブ・ナッシュと一悶着
ヤングといえば最近、ブルックリン・ネッツを率いるスティーブ・ナッシュHCとの一悶着が広く取り沙汰にされた。
ヤングは近頃、ピック&ロールからの緩急をつけたドリブルでファウルを量産。175本のフリースローアテンプトは、ここまでリーグトップの数字であり、185センチの小柄な体格をテクニックでカバーしている。しかし、ナッシュはヤングのこのようなプレーに対して「バスケットボールではない」と言い放ち、ホークスの背番号11を非難。これには「フロッピングにはうんざりしている」「ファウルをもらうのもひとつの技術」と意見が二分し、SNS上ではファンたちが各々の私論を展開した。
大ファンと公言していたナッシュからの指摘はさすがに応えたと思われるヤング。あの一件からまもなく1カ月が経過しようとしているが、現在、ヤングはどのような心境になったのか。『The Athletic』では、以下のコメントを口にしている。
「もし僕がスティーブのためにプレーしたら、きっと彼はハッピーだっただろうね。あの一件は、彼が勝利を目指している競争中のできごと。でも、僕も白星を掴みたいし、そのためには何でもするつもりだ。思うに、彼はレフリーにケチをつけて、試合を有利に運びたかったんじゃないかな。僕は彼からファウルを引き出す技術を学んだからね」
非難されたプレーに対して「非難された相手から学んだ」という強烈なレスポンス。ヒップホップのMCバトルであれば、間違いなくヤングに軍配があがる返答だ。また、ヤングは同紙でこのようにも語っている。
「止めようがない程まで相手チームにフラストレーションが溜まったら、それは成功だよ。対戦相手がいらだつことは、僕たちにとってはいいことだ。僕にとってはそれが全てだからね」
敵将までをもいらだたせることができたことは、裏を返せばヤングにとっては納得の出来だったということ。また、ナッシュもほとぼりが冷めてから試合を振り返り、後にヤングを賞賛するコメントを残している。
「彼は昨年から今年にかけて、状況を把握し、対戦相手を欺くために接触を引き出すことで大きな飛躍を遂げたね。印象的だし、彼は本当に上手くプレーしている。彼はリーグのリーディングレートでも先頭にいる。本当に感銘を受けているし、あれは彼が開発した正真正銘をスキルだと思うよ」
得点力、パスセンスに加え、ずる賢さまで身につけたホークスの司令塔。今シーズンのヤングを止めるには一筋縄ではいかなさそうだ。
文=Meiji