勝負どころにめっぽう強いリラード、ウィザーズのガードコンビが奇跡を演出
世界中のトップアスリートたちが集結するNBAでは、毎試合で迫力満点のダンクや目が覚めるようなアシスト、豪快なブロックショットなど、画面越しで観ていても息をのむようなプレーが生まれている。
そして観ている人たちだけでなく、コート上の選手たちや彼らを見つめるコーチ陣、実況や解説をしびれさせるのがクラッチパフォーマンスだろう。
今季開幕から1か月以上が経過したNBAでは、なんと2夜連続で奇跡的な逆転劇が生まれた。それが1月31日(現地時間30日、日付は以下同)に行なわれたポートランド・トレイルブレイザーズ対シカゴ・ブルズ戦と、2月1日のブルックリン・ネッツ対ワシントン・ウィザーズ戦である。
前者では残り11.5秒にコービー・ホワイトがフリースロー2本を沈め、ブルズが122-117と5点をリード。するとブレイザーズはタイムアウト明けにデイミアン・リラードがプルアップでディープスリーをねじ込んで、残り8.9秒で2点差に詰め寄る。
残り6.2秒。ギャリー・トレントJr.とザック・ラヴィーンによるジャンプボールでロバート・コビントンがボールを手にし、リラードへ渡すと、ラウリー・マルッカネン越しにステップバックスリーをブザービータ―で放り込み、ブレイザーズが123-122で劇的勝利。
後者は、ジェームズ・ハーデンを大腿部の打撲のため欠いたネッツが序盤から3ポイント攻勢で点を積み重ねて、最大18点差をつけるも、ウィザーズがセカンドユニットの奮闘で応戦。第4クォーター序盤に10点差をつけられるも、ラッセル・ウェストブルックとブラッドリー・ビールが最後の12分間で計37得点(チーム全体で48得点)の猛攻でネッツに襲い掛かる。
八村塁の3ポイント、ウェストブルックのドライブでウィザーズが残り41.1秒に同点とするも、ネッツはカイリー・アービングのジャンパー、ジェフ・グリーンのフリースロー1本、そして残り12.3秒にカイリーのフリースロー2本が決まってネッツが5点をリードした。
その後、ビールがディープスリーを放り込んで2点差に追い上げると、ジョー・ハリスのスローインをギャリソン・マシューズが執念のスティール。アウト・オブ・バウンズになりそうな中で何とかウェストブルックへとつなぐと、稀代の万能型ポイントガードが左45度付近から長距離砲をヒット。
ネッツ最後の攻撃を何とか防ぎ、残り0.7秒にビールがフリースロー2本を沈めて勝負あり。ウィザーズが149-146で制し、連敗を4でストップした。
『numberFire』によると、カイリーがフリースローを沈めた時点で、ネッツは97.95パーセントの確率で勝利するというデータがあったのだが、ウィザーズは見事にその予想を覆してみせた。
また、『ESPN Stats & Info』によると、過去25シーズンにおいて残り10秒未満で5点差以上も劣勢だったチームの戦績は、ブレイザーズとウィザーズの劇的勝利を含めて9勝2万3498敗。勝率にして0.00038パーセントという極めて低いものだったことを考えると、奇跡的な逆転劇が2夜連続で起きたこととなる。
「この試合はクレイジーなゲーム。確かに、俺はこれまでいくつかクレイジーな試合を経験してきた。でもこの試合もそのなかの1つに入るね」というウェストブルックの言葉が、この日の試合を端的に表していたと言っていいだろう。