アメリカ三大スポーツの一角をなすNBAは、圧倒的なエンターテイメント性とコマーシャル力の高さでビッグマネーを動かすリーグだ。
世界的経済誌『Forbes』によれば、NBA選手のサラリーは過去30年間上昇の一途をたどり、新型コロナウイルスまん延直前の1人あたりの給料は950万ドル(約10億円)。この数字は野球選手の2倍、そしてサッカー選手の3倍に匹敵する額だという。また、今シーズンのNBAには、第三者預託の預入前の金額で2800万ドル(約29億円)以上が支払われる選手が35人いるのに対し、MLBは7人、NFLは12人という結果に。いかに、NBAが高給取りのリーグかがお分かりいただけるのではないだろうか。
無観客試合はNBAの収益に大きな打撃を与え、それは選手個人の収入減にもつながるが、リーグのスター選手たちはスポーツメーカーと巨額のスポンサー契約を結んでおり、コート外からも多額のインカムを得ている。
『Forbes』は、既出の情報とあわせて、NBAの高給取り選手10名をピックアップ。以下では同ランキングから1~5位を抜粋し、各選手たちの収入を見ていこう。
1位:レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)
総収入:約99億円(サラリー32億円+スポンサー収入67億円)
キングは、7シーズン連続でNBA選手の総収入ランキングでトップを維持している。レブロンのコート外でのメイントピックと言えば、今年7月に放映される映画『スペース・ジャム:ア・ニュー・レガシー』だろう。レブロンは本作で主演を務めると同時に、プロデューサーとしての肩書きを与えられているほか、同映画は自身が経営する「スプリングヒル・エンタテインメント」と「ワーナー・ブラザーズ」が共同制作している。レブロンは、この作品から10億円以上もの収入を得るのではないかと推測されている。
2位:ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
総収入:約78億円(サラリー36億円+スポンサー収入42億円)
カリーは、4年連続でNBAのサラリーランキングでトップに君臨している。2012年に4年4400万ドルの契約を結んでから次の契約更新に至るまで、2度のMVP、2度のNBAチャンピオンに輝き、リーグ初のスーパーマックス契約を手にした。今シーズンはアンダーアーマーから待望のプライベートブランド、カリー・ブランドを立ち上げ。また、創設者であるフィルム&TV企業「ユナニマス・メディア」は、「Amazon」が提供するオーディオブックサービス「オーディブル」のファーストルック契約により、NBA選手内でも人気の高いPodcastに参入している。
3位:ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)
総収入:約68億円(サラリー32億円+スポンサー収入36億円)
ブルックリンの救世主としてビッグ3を形成するデュラントのコート外のトピックと言えば、ナイキにまつわるものがほとんどのように思える。日本でも利用者の多い「Uber」が同業のフードデリバリーサービス企業「ポストメイツ」を買収したことにより、巨額の富を得た模様。デュラントは、2016年にサンフランシスコを拠点とするスタートアップの「ポストメイツ」の株をエントリー価格で購入しており、100万ドル(約1億円)が15倍になって帰ってきたという。(※Forbesが発表するスポンサー収入に投資による収益は含まれていない)
4位:ラッセル・ウェストブルック(ワシントン・ウィザーズ)
総収入:約60億円(サラリー34億円+スポンサー収入26億円)
なかなか新天地でギアが上がりきらず、お世辞にも年俸に見合った活躍ができていないウェストブルック。ただ、コート外では慈善活動にも熱心で、自身の収入を様々な形で還元している。サラリーではレブロンやKDをも上回るが、スポンサー収入は大部分がナイキからのもの。しかし、意外と広く知られてはいないが、トリプルダブル製造機は南カリフォルニアにクライスラーやダッジ、ジープといったアメリカ車を広く取り揃えるカーディーラーを経営しており、こちらからの収入もあるようだ。
5位:ジェームズ・ハーデン(ブルックリン・ネッツ)
総収入:約52億円(サラリー34億円+スポンサー収入18億円)
ハーデンはトップ5で唯一、アディダス契約選手としてランクイン。同選手のサイドビジネスと言えば、昨年12月、投資家兼クリエイティブディレクターとしてスマートフレグランスブランドとして注目を集めるプーラへの参加が記憶に新しい。アディダスの契約金は年間1500万ドル(約16億円)前後となり、その他の収入はソックスブランドのスタンスや、アスリート向けボディ/スキンケアブランドのアート・オブ・スポーツ、コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)が投資していたスポーツドリンクのボディー・アーマーから入るものと見られている。
文=Meiji