コービーの引退試合を回顧するランドル
1996年から2016年もの間、ロサンゼルス・レイカーズ一筋で20年間プレーを続け、5回の優勝を含む数々の偉業とともに球団の伝説的な選手の1人となったコービー・ブライアント。彼は引退試合において、すでに限界を超えていた肉体の痛みに表情を歪めながらも己を鼓舞し、ゲーム終盤にはまるで壮大な映画のクライマックスかのようにクラッチジャンパーを連続で成功させた。劇的な逆転勝利を収め、「マンバ・アウト!」とともに現役生活に幕を閉じた。
あれから年月が過ぎたが、今でも当時の興奮やコービーの最後の勇姿が鮮明に浮かび上がる人はきっと多いことだろう。そのような歴史に残る試合に彼と一緒にコートに立っていたジュリアス・ランドル(ニューヨーク・ニックス)は、JJ・レディックのポッドキャストである『The Old Man & The Three』に出演し、あることを告白した。
当時ランドルはレイカーズに所属しており、コービーの引退試合にはスターターとして出場。33分9秒コートに立ったものの、ショットを放ったのは4本のみ。このゲームでは当然引退するコービーが主役であったわけだが、この時チームメートは彼にボールを率先して預け続けていた。
その当時の出来事をランドルは回顧すると、「彼は僕からボールを取り上げたんだ」とコービーについてコメント。「彼からボールを受け取った時、『次は僕がシュートを打つからな』と告げたら、彼は『このアリーナにいるファン全員からお前はブーイングを浴びたいのか?いいからさっさといけ。ボールを俺によこした方が断然いいに決まっている』と返答されたよ」と、笑いながら懐かしそうに語ってみせた。
事実コービーは合計50本ものショットを放ち、最終的に引退試合で60得点をマークするという偉業を達成。特に試合終盤のジャンプシュート、1点差に迫る左ウイングでのプルアップ3、その直後のプルアップジャンパーとフリースローなど、驚異的な集中力と支配力はまさしく“ブラック・マンバ”そのものだった。ランドルに発した言葉そのものは一見辛辣にみえるかもしれないが、それはコービーが完全に最後の試合にフォーカスしていたからなのだろう。