「最後まで気を抜かずに踏ん張らなきゃいけない。そして何かを起こそうとしたのさ」
3月4日(現地時間3日、日付は以下同)に行なわれたゴールデンステイト・ウォリアーズとポートランド・トレイルブレイザーズによる一戦は、試合時間残り1分43秒にドレイモンド・グリーンの3ポイントが決まり、ウォリアーズが3点リードを手にした。
だがそこからまたもや“デイム・タイム”が開演。残り51.5秒にフリースロー2本を着実に沈めると、ステフィン・カリーのミスショットのリバウンドを奪ったデイミアン・リラードが、左エルボーでケント・ベイズモアとの1対1をスタート。
そして狙いすましたかのようにステップバックスリーをリングへと放り込み、ブレイザーズが残り14.0秒に逆転。そしてウォリアーズ最後のオフェンスで、グリーンのレイアップに身体を張って倒れ込み、殊勲のテイクチャージにも成功。
リラードの攻防両面に渡るクラッチプレーにより、ブレイザーズが108-106でウォリアーズに競り勝ち、今季戦績をウェスタン・カンファレンス5位の20勝14敗とした。
「今こそ俺が勝利へと押し進める時。そのショットがタフであろうと、チャンスを作り出さなきゃいけない。何が起ころうと、最後まで気を抜かずに踏ん張らなきゃいけない。そして何かを起こそうとしたのさ」。
この試合で22得点5リバウンド6アシスト2スティールと殊勲の活躍で見事チームを勝利へと導いたリラードは試合後にそう語り、勝利を喜んだ。
ブレイザーズは依然としてCJ・マッカラム、ユスフ・ヌルキッチというスターター2人を欠いており、ビッグマンのザック・コリンズもケガで戦線離脱中。万全な戦力ではないものの、リラードを中心に8勝6敗で2月を乗り切り、強豪ぞろいのウェストでプレーオフ出場圏内をキープしている。
この日はリラードのほか、カーメロ・アンソニーが22得点4アシスト、ロバート・コビントンが15得点9リバウンド2スティール3ブロック、ギャリー・トレントJr.が15得点、エネス・カンターが11得点14リバウンドを残して勝利に貢献。
だがブレイザーズと言えばなんといってもリラードの貢献度が絶大。「コートにいると、相手がどれだけハードに俺をストップしようとしているのかを感じるね。俺の調子の良し悪しに関係なく、相手は常に(俺に対して)気にかけている」と話すリラードは、前半を終えてフィールドゴール33.3パーセント(2/6)と決して調子がいいわけではなかった。
「でも俺にとっては、よりいっそうメンタル的なものになるんだ。もし不調だと相手が知っていたとしても、彼らは常に警戒している。そこで俺は、相手にどうしてそこまでケアしなきゃいけないのか、なんでそこまでしてピリピリしなきゃいけないのかを見せたくなるのさ」とリラード。
相手が試合を通じてこの男を警戒するのは当然だろう。というのも、今季のリラードは第4クォーターまたは延長残り5分で5点差以内というクラッチシチュエーションになるとフィールドゴール61.4パーセント、3ポイント60.0パーセント、フリースロー100.0パーセントと驚異的な成功率を残しているからだ。
それ以外の時間帯ではフィールドゴール43.1パーセント、3ポイント36.5パーセント、フリースロー92.2パーセントと、決して悪い成功率ではないものの、クラッチシチュエーションになるとそれらが飛躍的にアップすることが分かる。
今季のクラッチシチュエーションにおいて、リラードは92得点でリーグ2位、20本以上放った選手の中でフィールドゴール成功率トップ、15本以上放った選手の中で3ポイント成功率でもトップであり、フリースロー成功率でもリーグトップに君臨。ブレイザーズの勝率もリーグ3位の72.2パーセントというすばらしい戦績となっている。
相手チームからすれば、ブレイザーズ相手にどれだけリードしていようと、クラッチシチュエーションに持ち込まれないよう、常にリラードには警戒しなければならないことを、これらのデータが如実に表している。