「僕はこのチームへこれまでよりもちょっと多才さを持ち込むことができると思っている。それがプレーオフではカギになると思う」とタッカーは語る
「あのインテンシティ(激しさ)を見たでしょ。彼はこのチームにすごくフィットするだろうね」。
ミルウォーキー・バックスは3月21日(現地時間20日、日付は以下同)に行なわれたサンアントニオ・スパーズ戦を120-113で勝利し、今季最長となる6連勝をマーク。先日トレードで獲得したPJ・タッカーがこの日バックスデビューを飾り、約13分の出場で3リバウンド1ブロックをマークし、クリス・ミドルトンは試合後にそう語っていた。
タッカーは196センチ111キロという当たり負けしない屈強な肉体を持ち、オフェンスではコーナースリーとオフェンシブ・リバウンド、ディフェンスではスイッチディフェンスやルーズボールにリバウンドと八面六腑の働きを見せる好選手。
目立った数字こそ残していないものの、35歳のブルーワーカーはデマー・デローザン相手にしっかりとコンテストしてショットミスを誘発し、相手選手のショットを封じるなどペイントエリアに立ちはだかった。
オフェンスでは3ポイント1本を放つも決められずに無得点となったが、今季途中までヒューストン・ロケッツで重要な働きを見せてきた仕事人は、新天地バックスでも貴重な仕事をこなしていくことが期待されている。
なお、スパーズ戦ではヤニス・アデトクンボが26得点8リバウンド15アシスト、ミドルトンが23得点、ドリュー・ホリデーが21得点、ドンテ・ディヴィンチェンゾが12得点13リバウンド3スティールを残したほか、3選手が2桁得点をマーク。
アデトクンボを中心とした布陣で、昨季まで2シーズン連続でリーグベストの戦績を残してきたバックスは、今季ここまで27勝14敗でイースタン・カンファレンス3位。だがタッカー獲得はシーズン終盤戦ならびにプレーオフでプラスに働くとマイク・ブーデンホルザーHC(ヘッドコーチ)は見ているようだ。
「ブルック(ロペス)がディフェンスでどれほどのインパクトを与えていることか。それにボビー(ポーティス)がコートの両エンドで見事な仕事を見せているし、今このチームにPJ・タッカーを加えることができた。ビッグマンのローテーションにおいて、また新たなオプションを手にすることができたんだ。試合を締めくくるうえで、選手たちをよりフレッシュな、健康な状態に保つことができるかもしれない。(タッカー加入によって)このチームは数多くの異なる布陣を起用できることになる。エリートレベルのディフェンダー、PJ・タッカーという男をこのグループに加えたことでね」。
一昨季はカンファレンス・ファイナルでトロント・ラプターズに、昨季はカンファレンス・セミファイナルでマイアミ・ヒートの前に敗れたバックスは、タッカーを加えたことで過去2シーズンにはないラインナップを敷くことができる。
昨季最優秀守備選手賞に輝いたアデトクンボ、オールディフェンシブチーム選出経験を持つホリデーとロペス、そしてスイッチディフェンダーとしてタッカーをコートに送り出すことが可能に。
フィジカルコンタクトに強く、メンタルタフネスも兼備するタッカーは、ロケッツ時代にケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)ともマッチアップして苦しめてきただけに、プレーオフでイーストを勝ち上がるうえで大きな武器となるかもしれない。
タッカーは「このチームはこれまでよりもちょっとスイッチするようになっている。僕はこのチームで自分たちが送り出すラインナップには本当に楽しみにしているよ。僕はいろんなチームを相手に、このチームへこれまでよりもちょっと多才さを持ち込むことができると思っている。それがプレーオフではカギになると思う。トップチームを見てみると、多才にならなきゃいけないからね」と語り、さらにこう続けている。
「僕らはビッグ(ラインナップ)で臨むこともできるし、スモールでも、スイッチしても戦える。それにブルックもいるからね。それぞれのチームによって全然違うからね。僕ならこのチームへ(スモールで戦える)機会を与えることができるさ」。
もっとも、シーズン中盤にタッカーを獲得した成果は、今季のプレーオフにおける最終着地点がどこになるかで判断されることになるだろう。まずはシーズン終盤戦に向けてイースト上位の戦績を残し、プレーオフを好シードで迎えるべく、今後も勝利を重ねていきたいところだ。