「彼は殿堂入りするためにモチベーションを与えてくれた全ての人たちへ感謝していることでしょう。彼らが間違っていたんだと証明してみせたのです」
5月16日(現地時間15日、日付は以下同)。2020年のバスケットボール殿堂入り式典がモヒガン・サン・アリーナ(コネチカット州アンカスビル)で行なわれた。
この日正式に殿堂入りを果たしたのは、コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)、ティム・ダンカン(元サンアントニオ・スパーズ)、ケビン・ガーネット(元ミネソタ・ティンバーウルブズほか)を含む計9名。
同日に行なわれたインディアナ・ペイサーズ戦で24得点7リバウンド8アシストを記録してレイカーズを勝利へと導いたレブロン・ジェームズが「これまでにこれほどのビッグ3が同時に殿堂入りすることはなかった」と話したとおり、コービー、ダンカン、ガーネットというトリオはNBA史上でもトップクラスのエリートであり、現役選手たちも今回の式典に注目していたことは容易に想像ができる。
なかでも最もスポットライトが当たっていたのは昨年1月末にヘリコプター墜落事故によって次女ジアナと共に他界したコービー。スピーチで登壇した妻ヴァネッサは、亡き夫についてこのように語っていた。
「私はこれまで、いつも公の場で夫のことを称えることはありませんでした。それは世界中にいるファンの皆さんから、数えきれないほど称賛されてきたからです。そして今、私は天国にいる彼が笑みを浮かべていると確信しています。すばらしいステージで、私が彼の成し遂げた偉業を称賛しているからです」。
レイカーズ一筋20シーズンを捧げたコービーは、5度の優勝、2度のファイナルMVP獲得をはじめ、オールスター選出18度、オールNBAチーム選出15度、オールディフェンシブチーム選出12度を誇る超がつくスーパースター。
偉大な選手となるべく、全てを犠牲にしてバスケットボールに費やしてきた男は、数多くの選手、世界中の人々に多大なる影響を与えてきた。妻のヴァネッサはそのコービーについてこう話す。
「彼はどんなスピーチであろうと駆り立ててきたから、スピーチの準備はしていません。彼は知性にあふれていて雄弁であり、公の場におけるスピーチについても数多くのことをもたらしてくれました。彼はこの場にたどり着くことを助けてくれた人たち、それに彼のことを疑っていた方々、共に励んできた人たち、彼には目標を達成できないと言ってきた人たちへ感謝していることでしょう」。
さらに大の負けず嫌いだったコービーを思い出しながら、ヴァネッサは「彼は殿堂入りするためにモチベーションを与えてくれた全ての人たちへ感謝していることでしょう。彼らが間違っていたんだと証明してみせたのです」と口にした。
そして世界へ向けて、ヴァネッサは「あなたは今、殿堂入りした。正真正銘のチャンピオンよ。あなたはただのMVPじゃなく、歴代最高の選手よ。あなたのことをとても誇りに思います。これからもずっと愛しています。コービー・ビーン・ブライアント」と語りかけ、バスケットボール史に名を残すレジェンドを称えた。
コービーはすでにこの世を去っているとはいえ、‟マンバ・メンタリティ”は今でも多くの選手や世界中の人たちの心の中に生き続けており、その男の雄姿は映像などで見ることが可能だ。
この日の式典を機に、あらためてコービーがコート上で残してきた雄姿の数々をチェックしてみてはいかがだろうか。