5月16日(現地時間15日)に開催された式典にて、コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)がバスケットボール殿堂入りを果たした。
壇上には、妻ヴァネッサ・ブライアントとともに、プレゼンターとしてマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)が登壇。ジョーダンは、コービーのことをまるで血のつながった弟のように慕っており、昨年の追悼式で流した大粒の涙はその愛情の表れとして多くのバスケットボーラーたちの脳裏に今なお色濃く記録されていることだろう。
「彼は自分の道を貫いた」
そのジョーダンは最近、「ESPN」の取材に応じ、その一幕でコービーと交わした最後のテキストメッセージの内容を明かした。
最後のやりとりは、2019年12月8日。正午を少し回った頃、コービーからジョーダンのもとに1通のメッセージが届いたという。
「このテキーラ、最高ですね」。それは、ジョーダンが2019年にビジネスパートナーと立ち上げた高級テキーラのお礼だった。ジョーダンは発売にともない、コービーに最高級のテキーラをプレゼントしたのだろう。以降のやりとりは、以下のとおりだ。
ジョーダン「ありがとう、ブラザー」
コービー「こちらこそ。家族は元気にしてますか?」
ジョーダン「みんな元気にしているよ。そっちは?」
コービー「僕の家族も変わりありません」
“弟”からのメッセージに、ジョーダンは笑みをこぼしたという。そして、コービーは引退後、娘のジアナのコーチングに熱心だったことから、そのことについて話しを切り出した。
ジョーダン「素敵なホリデーシーズンを。そして、近々会えることを楽しみにしているよ。コーチ・コービーなんだろ??!(笑い泣きしている絵文字)」
コービー「そちらも素敵な休暇をお過ごしください。ちょうど今、僕はベンチに座っていて、対戦相手をボコボコにしているところですよ。(スコアは)45-8ですね」
実にコービーらしい、ユーモラスな返答だった。ジョーダンはこのテキストがお気に入りのようで、「ESPN」に対して「なぜなら、これはコービーの闘争本能を表しているからです」とその理由を語っている。
ジョーダンは心の底からコービー・ブライアントという1人のバスケットボール選手に敬意を抱いており、その姿に自分の面影を感じていたという。
「彼のプレースタイルは、私とそっくりでした。彼は自分の道を貫いた。私はそれをリスペクトしています」
2人のリレーションシップは、1997年に始まった。舞台は、シカゴ・ブルズの本拠地『ユナイテッド・センター』。12月17日のゲームで、コービーはベンチからの出場にもかかわず、わずか29分で33得点を記録してみせた。ジョーダンはそんな2年目の若手に感銘を覚えて自ら声をかけ、「もし何かアドバイスがほしければ、電話をくれ」と言ったという。
「コービーは精神的にタフなヤツでした。もしかすると、私以上かもしれません」
バスケットボールの神様からの手放しの賛辞はきっと、天国のコービーにも届いていることだろう。
文=Meiji