2021.05.17

殿堂入りしたダンカンがパーカーとジノビリを称賛「全ての経験に感謝しています」

殿堂入り式典にて。ダンカン(中央)とロビンソン(右)[写真]=Getty Images
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「彼らがこの場に立つことを楽しみにしています。あの2人とコートを共有できたことは光栄でした」

 5月16日(現地時間15日、日付は以下同)。モヒガン・サン・アリーナ(コネチカット州アンカスビル)で行なわれた、2020年のバスケットボール殿堂入り式典で、サンアントニオ・スパーズが誇るレジェンド、ティム・ダンカンが殿堂入りを果たした。

 スパーズ一筋19シーズンをプレーし、フランチャイズ通算5度の優勝全てに大黒柱または主力として貢献してきた男は、基本に忠実なプレーぶりから”ビッグファンダメンタル”の異名を持ち、自慢のバンクショットや効果的なポストプレーを駆使して点を稼ぎ、相手チームの特徴や癖を見抜いてチームメートたちへ的確に指示を出すなどディフェンシブアンカーとしても活躍。

 ダンカンは新人王を皮切りに、優勝5度、ファイナルMVP3度、シーズンMVP2度に加え、オールスター、オールNBAチーム、オールディフェンシブチームにはそれぞれ15度選出と、攻防兼備のビッグマンとして10年以上に渡ってリーグの一線級でプレーし続けてきた。

 だがこの日の式典では兄貴分のデイビッド・ロビンソン(元スパーズ)がプレゼンターを務め、世界中の人々が注目していたこともあり、「私はなんとかこの場を乗り切りたいと思います」と笑顔を見せて、こう続けた。

「人生で最も緊張しています。これまで(NBA)ファイナルや(プレーオフの)第7戦を何度も経験してきましたが、この場に立ってスピーチすることが最も緊張しています。この場を乗り切るために、1日中こもっていました」。

 ルーキーシーズンから6シーズンを共にプレーし、ツインタワーとして2度の優勝を勝ち取った提督ロビンソンについて「よく聞かれるのは『彼は君に何を教えたんだ? 何を示したというんだい?』ということ。私は彼と座ってじっくり何か具体的なことを話し合った記憶はないです」と笑みを浮かべ、偉大なる先輩をこう称えている。

「ですが、彼は究極のプロとしてキャリアを終えましたし、申し分ない父親で、すばらしい人間性を持った男でした。どうすれば良いチームメートになれるのか、コミュニティでどう振る舞うべきかといった数多くのことを示してくれました」。

 ダンカンがバスケットボールをプレーし始めたのは14歳の頃。両親はバスケットボールに関して全くと言っていいほど知識もなかったが、「両親はゲーム以上に大切なことを私に教えてくれました」と感謝を述べている。

 スパーズではロビンソン以上に、ダンカンはトニー・パーカー(元スパーズほか)、マヌ・ジノビリ(元スパーズ)とのビッグ3体制で長年プレーしており、計4度の優勝を勝ち取ってきた。

「自分の周りに同じ選手たちが何年もずっといる、それはすばらしいことです。こうして話すことができることをうれしく思います。マヌ・ジノビリとトニー・パーカー。彼らがこの場に立つことを楽しみにしています。あの2人とコートを共有できたことは光栄でした。彼らとの友情と、コート上における全ての経験に感謝しています」。

 そしてダンカンのNBAキャリアにおける唯一無二の指揮官、グレッグ・ポポヴィッチHC(ヘッドコーチ)について「彼は私がドラフト指名された後、島までやって来て私の友人や家族、父とも話していました。それは彼にとって普通のことなのでしょう。でもそんなことはありません。彼は一際優れた人物です」と評し、このように感謝を述べた。

「バスケットボールのことだけでなく、バスケットボール以外のことも教えてくれてありがとう。彼は世界情勢や家族のことなど、全てを教えてくれました。ありがとうございます。あなたは最高の人です」。

 スパーズで4度の優勝を共にしたパーカーとジノビリも、いずれバスケットボール殿堂入りを飾ることだろう。今回殿堂入りしたことで、彼らのプレゼンターにダンカンの名前がリストアップされる日がそう遠くない未来に訪れるに違いない。