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名将グレッグ・ポポヴィッチHC(ヘッドコーチ)の下、サンアントニオ・スパーズは昨季までNBA史上最長記録タイとなる22シーズン連続のプレーオフ出場を果たした。
これまで1999、2003、05、07、14年と、通算5度の優勝を経験してきたスパーズにおいて、その全てに関わってきた選手はティム・ダンカン(元スパーズ)のみ。新型コロナウイルスの影響により、今年のバスケットボール殿堂入りの式典が当初の8月末から延期となったものの、ダンカンはコービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)、ケビン・ガーネット(元ミネソタ・ティンバーウルブズほか)らと共に、殿堂入りを決めている。
スパーズがフランチャイズ史上初の優勝を飾ったのは、ロックアウトによって50試合の短縮となった98-99シーズン。当時キャリア2年目のダンカンが提督ことデイビッド・ロビンソン(元スパーズ)から主役の座を譲り受け、ファーストオプションとして見事な活躍を見せ、念願のNBAチャンピオンとなった。
ロビンソン(216センチ)とダンカン(211センチ)による“ツインタワー”は、大きいながらも走れて、攻防両面に秀でたデュオだった。ハイポストからローポストへと鮮やかに決めるコンビネーションも秀逸で、対戦チームの多くがその対応に苦しんだ。
その後スパーズはロビンソンにとって現役最後の02-03シーズンにもチャンピオンとなり、稀代の万能型ビッグマンは有終の美を飾ってNBAキャリアに幕を下ろしている。
その基本に忠実かつ無駄のない動きに“ビッグ・ファンダメンタル”というニックネームがついたダンカンは、キャリア19シーズンで新人王、2度のシーズンMVP、3度のファイナルMVPを手にしたほか、オールスターとオールNBAチーム、オールディフェンシブチームにそれぞれ15回も選ばれたレジェンド。
だがロビンソンもキャリア14シーズンで新人王、シーズンMVP、最優秀守備選手賞を手にし、オールスターとオールNBAチームに各10度、オールディフェンシブチームにも8度選出された実績を持つ。
さらに、得点、リバウンド、ブロックショットでそれぞれ1度スタッツリーダーに選ばれたほか、94年2月18日(現地時間17日、日付は以下同)に行われたデトロイト・ピストンズ戦では34得点10リバウンド10アシスト10ブロックと、4つの部門で2ケタを記録するという“クァドラプルダブル”も達成。これはNBA史上4人しか達成していない金字塔となっている。
ロビンソンは5月27日に『NBA on TNT』のアーニー・ジョンソンとのインタビューに出演し、ダンカンについてこう話していた。
「ティムは控えめな男でね。私はこれまで、いつも自分のことを物静かだと思っていたんだけど、ティムは私を騒がしい男のようにさせたんだ。でもこのチームに入って、彼は気取らなかったし、ものすごい選手なのは明白だった。彼のプレーを初めて見た時、私は『なんてこった。すごいじゃないか。こりゃあ面白くなるぞ』と思ったね。その時点では、彼が私よりもすごい選手になるとは思ってなかったけど、彼が非常にいい選手になるだろうと確信していたよ」。
そしてロビンソンは「ティムがやって来たのを見て、私は本当に助けてもらえると分かった。それはつまり、このチームにチャンピオンシップを勝ち取る本当のチャンスが巡ってきたということなんだ。それは人生を変えてしまうほどのものだった。私はものすごく興奮していたんだ」と続けた。
ロビンソンはダンカンにオフェンス面における主役の座を明け渡し、自らは守備への意識を高め、ディフェンシブアンカーとして2度の優勝に大きく貢献した。
年齢やそれまでのキャリアがどうであれ、ロビンソンはダンカンが持つ選手としての能力を早くに認めたことで、スパーズは世代交代に成功し、ベテランの経験と若手の才能がうまくブレンドされていったのだろう。
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