2020.01.07

「スパーズがいなければ、僕らは多分10連覇していただろう」とコービー・ブライアント

プレーオフでスパーズ(右/写真はボウエン)と何度も激闘を繰り広げてきたコービー(左)[写真]=Getty Images
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スパーズとプレーオフで激突したのは計6度、そのうち4度制しているが…

 NBAキャリア20シーズン全てをロサンゼルス・レイカーズでプレーし、5度の優勝を成し遂げたコービー・ブライアントは、2020年のバスケットボール殿堂入り候補に選ばれており、文句なしで殿堂入りすることだろう。

 コービーはシャックことシャキール・オニール(元レイカーズほか)と共に2000年から02年まで3連覇を達成。09、10年には自身が中心となってパウ・ガソル(現ポートランド・トレイルブレイザーズ コーチングスタッフ)らを束ねて2連覇を成し遂げた。

 20シーズンのうち、15シーズンでプレーオフを経験したコービーは、研ぎ澄まされたスコアリング能力を存分に発揮し、数々のドラマを生み出してきたのだが、キャリアの中で大きな障壁となったのは、サンアントニオ・スパーズだったという。

 現地時間1月7日に『News4AanAntonio.com』へ掲載された記事の中で、コービーは「サンアントニオはタフ(な相手)だった」と切り出し、こう振り返っていた。

「彼らは本当にタフだった。プレーオフになって、シャックと僕がうまくいっていなかったからというわけじゃない。僕らは(スパーズに)打ちのめされたんだ」。

 コービーがプレーオフでスパーズと激突したのは計6度。そのうちシャックとプレーしていた期間に5度ぶつかっており、2001年からは4年連続で激突。通算戦績は4勝2敗でレイカーズに軍配が上がっているものの、意気揚々と臨んだ1999年は4連敗のスウィープ、2003年(いずれもカンファレンス・セミファイナル)では2勝4敗で涙をのみ、4連覇の夢を絶たれていたのである。

 レイカーズが3連覇を達成した2002年のカンファレンス・セミファイナルは、結果としては4勝1敗だったものの、タフなシリーズとなった。シャックがケガによりプレーが制限されていたため、コービーが攻防両面で大車輪の活躍。ティム・ダンカンとデイビッド・ロビンソン(共に元スパーズ)のツインタワー相手に、コービーが執念のオフェンシブ・リバウンドをもぎ取り、決勝弾を沈めた試合もあった。

スパーズの徹底マークに遭いながらショットを試みるコービー[写真]=Getty Images

勝ち続けたコービー、打倒レイカーズを果たすべく、王朝を構築したスパーズ

 では、もしプレーオフでスパーズが目の前に立ちはだかっていなければ、レイカーズは4連覇できたのだろうか。コービーは言う。

「重要なのは『もしスパーズがいなければ、僕らはどれくらい優勝できていたのか?』という疑問だ。(それに対する答えとして)僕らは10年もの間、勝ち続けることができただろう。タレント、コーチング、全てがサンアントニオにはあった。僕らにとっては、まさに究極の嵐だったんだ。彼らがいなければ、多分僕らは10年連続でチャンピオンとして勝ち続けていただろう」。

2000年から02年にかけて3連覇を成し遂げたレイカーズのシャック(左)とコービー(右)[写真]=Getty Images

 コービーの口から発せられた言葉の数々は、サンアントニオのメディア相手で、数々の名勝負を繰り広げてきたダンカンが同じく殿堂入り候補に入ったことも相まって、リップサービスという部分もあったのかもしれない。

 だが、スパーズはシャックとコービー率いるレイカーズを下すべく、適材適所な補強を行ってきた。当時の指揮官、フィル・ジャクソンHC(ヘッドコーチ)が大柄なガードを好んで起用していたため、レイカーズのディフェンスを切り裂くべく、抜群のクイックネスを持つトニー・パーカーをポイントガードに、タフで粘着気質なディフェンダーとして頭角を現したブルース・ボウエン(共に元スパーズほか)をスモールフォワードに、変幻自在のハンドリングとムーブで相手ディフェンスを崩壊させるマヌ・ジノビリ(元スパーズ)をシューティングガードに据えて戦力増強。

 さらにはレイカーズ3連覇の主力だったロバート・オーリー(元レイカーズほか)をロースターに加えるなど、グレッグ・ポポヴィッチHCは着実にレイカーズとの戦力差を埋めていき、ダンカン中心だったスパーズをチャンピオンチームへと引き上げた。スパーズが03、05、07年に優勝を勝ち取り、王朝と呼ばれるまでのチームへと昇華した過程で、打倒レイカーズという強い思いがあったのではないだろうか。

 2000年代のNBAを語るうえで、コービー率いるレイカーズとダンカン擁するスパーズは不可欠な要素であり、数々の名勝負を生み出してきたことは、今後もずっと語り継がれることとなるに違いない。

2000年代のNBAを代表する選手として知られるコービー(左)とダンカン(右)は、今年殿堂入りすることが確実視されている[写真]=Getty Images

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