2020.04.01
2015-16シーズンを最後に、ロサンゼルス・レイカーズでの20年にわたるキャリアに終止符を打ったコービー・ブライアント。NBA制覇は3連覇と2連覇を含む5回を経験し、ファイナルMVPは2年連続で受賞。そのほかにもシーズンMVP1回、オールスターMVP4回、得点王2回、オリンピック代表では公式戦無敗で2つの金メダルを獲得するなど、輝かしい実績を誇る。
1試合81得点や4試合連続50得点オーバーなど、全盛期のコービーの得点力と爆発力は歴代屈指の能力だったに違いない。晩年はアキレス腱断裂を筆頭に数々の大ケガに苦しみ、若い頃にケガをおして無理なプレーもしていたことから、肉体は限界を超えていた。だが引退を発表したシーズンでは、ベンチにいる間は両肩と両膝を常にアイシングし、できる限り試合に出場し続けたのである。
いよいよ訪れた現役最後の試合、コービーは終盤に痛みで表情が歪みながらも己を鼓舞し、クラッチショットを立て続けに沈めてレイカーズを逆転へと導いた。そしてキャリア最初の得点と同じくフリースローで最後の得点を決め、引退試合で60得点という信じられない記録を樹立し、コートを去った。
『NBA.com』によれば、これまでのどの試合がお気に入りかというインタビューに対して、コービーの引退試合を挙げた選手たちがいるそうだ。「コービーの引退試合だ、あの60得点を叩き出して勝利した試合」と答えるのは、今季アトランタ・ホークスで2年目を迎えたトレイ・ヤング。「彼は最後の最後まですべてを出し尽くしたんだ。彼は毎試合それが最後の試合のように戦っていた」とコメントした。
コービーのようにミドルレンジのプルアップジャンパーを得意とするデマー・デローザン(サンアントニオ・スパーズ)も、「僕にとってコービーの引退試合だね」と回答。彼に憧れ、プレースタイルを研究したというデローザンは、「彼は僕に話してくれたんだ。あの試合のあと、車まで歩くことすらできなかったとね」と語った。
「コービーの引退試合かな? 難しいね」と話すのは、2012年のロンドンオリンピックでともに金メダルを獲得したケビン・ラブ(クリーブランド・キャバリアーズ)だ。コービーの引退試合について、「バスケットボールを超越した瞬間だったよ、なぜなら彼のこれまでのキャリアを物語る内容だったからね」と説明し、「彼はずっとパフォーマーだ。いつも挑戦や重要な局面に挑んでいる。信じられないパフォーマンスだった」と話した。
コービーは現役を退いてからも、現役選手たちとともにワークアウトして自身のスキルや知恵を伝えるなど、次の世代につなげていく活動を数多く取り組んでいる。こうして今でもリーグを代表する選手たちの記憶に残っているというのは、やはりそれだけ彼が偉大な選手だったからなのだろう。
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