2019.12.10
今季開幕から好スタートを切ったロサンゼルス・レイカーズは、ワシントン・ウィザーズを打ち破ったことで、11月30日(現地時間29日)の時点で戦績を17勝2敗としてウェスタン・カンファレンス首位を独走。『ESPN』によればレイカーズの長い球団の歴史において、開幕から同じく17勝2敗を達成したシーズンはわずか2回だけで、マジック・ジョンソン(元レイカーズ)とカリーム・アブドゥル・ジャバー(元ミルウォーキー・バックスほか)が在籍していた1985-86シーズンと、コービー・ブライアント(元レイカーズ)とパウ・ガソル(フリーエージェント)が在籍していた2008-09シーズンのみだという。前者は名将パット・ライリーHC(ヘッドコーチ/現マイアミ・ヒート球団社長)の指揮の下、4回のリーグ制覇を達成した“ショータイム・レイカーズ”と呼ばれる1980年代のレイカーズの黄金時代。後者はコービーの恩師であり、2000年代初頭のシャキール・オニール(元オーランド・マジックほか)の3連覇時代を含む、合計5回の優勝をレイカーズにもたらしたフィル・ジャクソンHCの時代である。
歴代の記録に並ぶほどの強さと好調さを見せている、現レイカーズのここまでの成功に多くの人々が驚いていることだろう。事実この夏は、今季終了後にプレーヤーオプションを保持するアンソニー・デイビスのトレード成立のため、多くの若手選手たちと、スワップ権を含む複数の1巡目指名権を放出。フランク・ボーゲルHCをはじめ、アシスタントコーチも入れ替え、選手に関してもダニー・グリーンやドワイト・ハワード、エイブリー・ブラッドリーやクイン・クックなど、多くの新メンバーを迎え入れた。6年もプレーオフから遠ざかっている名門にとっては、非常に大きな賭けとなったのである。
12月4日(同3日)の時点では戦績18勝3敗とバックスに並んでリーグベストを記録しているが、なぜここまで白星を重ねているのかが気になる点だ。本来これだけ多くのメンバーが入れ替われば、戦術やシステム、チームカルチャーをチームの細部まで浸透させたり、チームメート同士が確かな信頼を築いたりするなど、新たにケミストリーを構築するのにそれなりの時間がかかる。だが今回、その理由が選手自ら公表されたのだ。『LeBron Wire』に掲載されたインタビューにて、チームナンバーワンシューターのグリーンがレイカーズ好調の理由について答えた。
グリーンは、「ここまでいいスタートを切れるとは決して思っていなかったよ。これまで様々な特別なチームの一員になってきたが、それよりも何より、記録より大事なことがあって、仲間意識やケミストリーが重要なんだ。ケミストリーが本当に素晴らしいチームの一員であると思う、でもここまで雰囲気が良い状態のチームの一員になったことは今までにないんだ」と振り返り、「中国でのプレシーズンマッチに向けての遠征期間が、僕たちにとって大いに手助けとなった」と本題へと入っていった。
「コート外では信じられないほど素晴らしいものだった。僕たちはお互いに会話し、グループチャットでも言葉を交わし、コート外でも出かけたりして、ともに行動を取るように計画していた」とコメント。「中国での遠征は大変役立ったと思う。ここまで短期間でお互いが親密な関係になっていくチームに今まで在籍したことがなかったし、シーズンの早い段階でも、皆で一緒に出かけたりしていたんだよ。そういったことが、僕にとって特別なものを築き上げていったんだ」と続け、単にバスケットボールに打ち込むだけでなく、プライベートでも時間を共有していたようだ。
そして、「コートの外で、皆と一緒に本当に多くの楽しい時間を過ごしてこれたんだ。そういったことは決して忘れられないものであると思う。そういう思い出がお互いの距離感を近いものにするし、お互いを結びつけてくれる。グループの一体感とこの特別な感覚は、コート外の時だって続いているのだから」と締めくくり、メンバー同士の親密さについて語った。
今季は開幕から、レイカーズファンにとっては複数のサプライズがあった。2012-13シーズンのみ在籍したハワードが復帰し、ベンチから献身的にディフェンスやスクリーン、また声出しでチームを支え、自己犠牲を重視するメンタリティを手にしたこと。またケンテイビアス・コールドウェル・ポープが開幕当初からシュートスランプに陥っていて自信喪失になった際、ボーゲルHCやレブロン、ハワードを含むメンバーが支え続けたことで、見事本来のリズムを取り戻したこと。まだ他にも数多く明るい話題があるが、レイカーズの現在のケミストリーの素晴らしさを象徴していることだろう。
だがシーズンはあくまで序盤であり、12月の14試合中10試合は現在勝ち越しているチームとの戦いとなる。さらにアウェイでの試合は合計9試合、最長5連戦が敵地で待ち構えている。非常に厳しいスケジュールを今のレイカーズがチーム一丸となって乗り越えていくかどうか、真価が試されることだろう。
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