2019.12.03
プロアスリートにおいて年齢というある意味でのタイムリミットとの戦いは、その選手がどのタイミングでピークを迎えていくのか、また現役生活を続行するために、一体どういったケアが必要なのかを見極める重要な要素となる。NBAにおいては30代半ばに差し掛かると、スター選手でも年齢的に肉体や精神をピーク時のように維持することも難しくなっていき、度重なるケガやモチベーションの低下、あるいは家族との時間を優先するなど、現役を引退する選手も多い。だが中には肉体的な衰えがあろうと、積み上げてきたスキルや、持ち前の経験やバスケットボールIQを活かし、晩年でも第一線で活躍する選手も存在する。
今季でNBAキャリア17年目となるロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームズは12月30日で35歳を迎える。だがその長い現役生活と年齢的にもアスリートとして高齢の域に達しつつありながら、今シーズンはここまで18試合に平均35.3分出場し、25.8得点7.3リバウンド11.0アシスト1.3スティールをマーク。アシストは現在リーグ1位で、個人としても17年目でキャリアハイの数字となる。また11月28日(現地時間27日)に行われたニューオーリンズ・ペリカンズ戦ではNBA史上4人目となる通算3万3000得点(3万3008得点)に到達し、このまま健康体であれば今シーズン中にはNBA歴代通算得点3位のコービー・ブライアント(元レイカーズ/3万3643得点)を抜いてNBA史上3位へ浮上する可能性が高い。
ここまで目立った衰えを感じさせず、年々人々を驚かせるレブロンの存在感というのは、単にスーパースターというだけでなく、いよいよ歴代トップの領域へ踏み出しているといっても過言ではないはずだ。事実このレブロンの姿を目にして、彼のパフォーマンスを高く評価するNBAレジェンドが存在する。バスケットボールの神様と謳われるマイケル・ジョーダン氏(元シカゴ・ブルズほか)とともに、ブルズで1990年代に2回の3連覇を達成したスコッティ・ピペン氏(元ブルズほか)だ。
『ESPN』の『The Jump』に出演したピペン氏は、今季のレブロンの活躍に関して以下のようにコメントした。
「レブロンはこれまでのキャリアにおいて、今がまさに全盛期だ。彼は自分の肉体を良くするために管理を行い、出場時間も管理している。またバスケットボールのコート上ではポゼッションにも気をつけているんだ。彼は未だにコートを走り、トランジションで相手を抑えている。だがこれはコートにおいて、より良い司令塔になるための彼の能力なんだ。彼は成功のためにチームメートを正しいポジションへ置き、これが私が今レブロンから見出しているものだ。そして35分という時間は、彼の肉体にとっては厳しい出場時間ではないと捉えている」
レブロンは常に万全な状態を維持し続けるために、肉体のケアのために多額の投資をしていると言われるくらいマネジメントを徹底している。実際のところ昨季はクリスマスゲームにて股関節を痛め、そこから翌年の2月まで長期離脱となったが、この夏オフシーズンの治療を経て完全回復を果たした。またそのおかげで今季は痛みを気にすることなく、ディフェンスにも積極的にプレーできるようになったと彼は話す。
新たなコーチングスタッフと新加入の選手たちとともに、30日(同29日)の時点で17勝2敗とリーグベストの記録を保持するレイカーズ。チームの中心に君臨するレブロンは、勝利のためにすべてを注ぎ込む真のアスリートだ。歴史あるフランチャイズ球団のレイカーズを再び優勝へと導く彼の挑戦は、今こうして揺るぎない闘争心とともに始まっている。
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