デビューから9年間を過ごした古巣ワシントン・ウィザーズを離れ、現在ヒューストン・ロケッツに在籍するジョン・ウォール。今シーズンもケガに悩まされ、出場試合数はわずか40試合にとどまったが、1試合平均20.6得点6.9アシスト3.2リバウンドというスタッツを残し、未だにエリートガードの地位から陥落していないことを示した。
しかし、ウォールの“チームを勝たせることのできないポイントガード”というレッテルも剥がれることはなかった。今シーズンのロケッツは、20連敗という不名誉な球団新記録を樹立。72試合を戦うレギュラーシーズンにおいて、勝利試合数はわずか17試合となり、勝率は23.6パーセントにまで落ち込んだ。もちろん、急造ロスターであることや、主力の相次ぐケガがあったのも事実。ただ、プレーオフ進出を逃し、リーグを最下位でフィニッシュしたことにファンが納得するわけもなく、来シーズンは名誉挽回が必須任務となっている。
もちろん、能力やリーダーシップを考慮すると、その中心選手はジョン・ウォールとなるわけだが、当の本人は残留を望んでいないようだ。
ロケッツのInstagramファンページアカウント「@clutchcitynation」は、フォロワーに向けて「ジョン・ウォールはトレードまたはバイアウト? それとも残留?」というアンケートを実施。すると、まさかのウォール本人がその質問に回答し、2択のうち「退団する」とリアクションしたのだ。
John Wall 💀💀💀 pic.twitter.com/cIROptOLsE
— Pranav Sriraman (@pranavsriraman) May 14, 2021
残留かトレードかバイアウトか
米カルチャーメディア『Complex』によると、ウォールとロケッツの間には2年9200万ドル(約100億円)という莫大な契約が残されている。これについて『The Athletic』のジョン・ホリンジャー記者は、ウォールが当初の予定より早くバイアウトされる可能性があることを示唆。残留とバイアウトを天秤にかけた際、後者のほうがロケッツにメリットがあると考えているようだ。
「現在、FAになったジョン・ウォールが2年2000万ドル(約22億円)の契約を手に入れることができるでしょうか? 彼が健康上の問題を抱えていても、いくつかのチームで先発できるような選手であれば、それは適正価格であり、むしろ低いかもしれません。もしそうだとすれば、ヒューストンはウォールをあと1年酷使するために引き止めるよりも、バイアウト契約を受け入れるほうが理にかなっていると思いませんか?」
「この取り決めは、ブレイク・グリフィンとデトロイトのそれに似ています。ヒューストンは、向こう2年のキャップヒットを9200万ドルから少なくとも7200万ドル(約78億円)に引き下げることができ、(オーナーの)ティルマン・ファティータは、支払いを5シーズンに分割できることをうれしく思うはずです」
再建期に突入したロケッツとすれば、トレードでの等価交換が理想的。しかし、怪我のリスクを考慮すると、不良債権になりかねないウォールの引き受け先を見つけるのは、骨の折れる作業となるだろう。一方で、再起を図るウォールはサラリーよりもFAになることを優先し、常勝軍団への移籍を希望しているのかもしれない。実力はお墨付きな選手だけに、ロケッツとウォールの動向は、オフシーズンの注目トピックのひとつとなるだろう。
文=Meiji