ケガから復帰を果たしたスペインのパウ・ガソルを突き動かしたコービー・ブライアント

コービー(左)とガソル(右)[写真]=Getty Images

 7月26日に行なわれた日本代表とのグループリーグ初戦。スペイン代表は88-77で勝利し、東京オリンピック初戦を白星で飾った。

 日本代表の前に、第2クォーター残り5分33秒で26-26の同点に追いつかれるも、リッキー・ルビオ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)を中心にリードを広げ、そこからはリードを奪われることなく勝ち切っている。

 この試合で殊勲の働きを見せたのはもちろん20得点9アシストのルビオ。ターンオーバーもなく、冷静沈着なプレーメイクでスペイン代表をけん引し、日本の守備陣を何度も突破。2019年のFIBAワールドカップを制したチームの実力は健在だった。

 また、この試合では41歳のパウ・ガソル(FCバルセロナ)がベンチスタートで登場。13分33秒の出場でフィールドゴール80.0パーセント(4/5)の計9得点4リバウンド2ブロックと、貫録のプレーで勝利に貢献。19年5月に左足疲労骨折の手術をし、復帰まで長い道のりではあったものの、今年に入って古巣と契約を結び、自身5度目のオリンピック出場を果たしている。

 25日(現地時間24日)に『USA TODAY』へ掲載されたインタビューの中で、ガソルはロサンゼルス・レイカーズで約7シーズンを共闘し、2度のNBAチャンピオン(2009、10年)に輝いた戦友コービー・ブライアント(元レイカーズ)が長いリハビリを乗り越えて復帰するうえで助けとなったことを明かしている。

「彼は今でも私の心の中にいる。『コービーなら自身のことを追い込んでいただろう』と何度も言い聞かせてきた。コービーだったら、このワークアウトでも妥協せず、どんな些細なことであろうとスキップしないはずだとね。彼は本当に規律を守る男で、練習を積み重ねていくことの重要性を信じていた。彼はいつだって、私にとって大きな存在なんだ。私の人生において、彼は常にインスピレーションであり、モチベーションになっているんだ」。

 レイカーズ時代の元チームメートで、友人でもあったコービーは、昨年1月末にヘリコプター墜落事故により他界してしまった。だがこの男の存在は、ガソルの復帰への道のりを強烈にサポートしたと言っていい。

 優勝候補の一角スペインは、オリンピックの舞台で何度もアメリカ代表に金メダル獲得を阻まれてきただけに、今大会におけるガソルの優勝への思いは一際強いはず。41歳の技巧派が繰り出すプレーの数々にも注目していただきたい。

モバイルバージョンを終了