ドラフト全体1位指名され、ウォリアーズでは主力の1人として優勝も経験
12月1日(現地時間11月30日)。アンドリュー・ボーガットが現役引退することを発表した。
「この決断は簡単なものではなかったけど、正しい決断だと思う。次のシーズン、僕は契約することになりそうな場所はどこにもないことから、この決断を下した。プロバスケットボールの世界から引退するよ」。
プロキャリアを終えることについてそう話したボーガットは、オーストラリアのメルボルン出身のセンター。213センチ117キロという屈強な肉体を持ち、ユタ大学から2005年のNBAドラフトにアーリーエントリーし、ミルウォーキー・バックスから全体1位指名。
NBAキャリア14シーズンで膝などのケガに悩まされてきたものの、通算706試合(うち先発は661試合)に出場して平均28.1分9.6得点8.7リバウンド2.2アシスト1.5ブロックにフィールドゴール成功率53.5パーセントをマーク。バックスで約7シーズン、ゴールデンステイト・ウォリアーズで約5シーズンをプレーしたほか、ダラス・マーベリックス、クリーブランド・キャバリアーズ、ロサンゼルス・レイカーズにも所属してきた。
バックス在籍時の09-10シーズンには自己最高の平均15.9得点に10.2リバウンド1.8アシスト2.5ブロックを残してオールNBAサードチームに選出。翌シーズンには平均2.6本でブロックショット王も獲得している。
キャリア中盤に加入したウォリアーズでは、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンらと共闘。先発センターとしてオフェンスでは主にスクリナー兼ボールの中継役とリング付近のフィニッシャー、ディフェンスではリムプロテクターとして身体を張り、14-15シーズンには自身唯一のNBAチャンピオンに輝いたほか、その働きが認められてオールディフェンシブセカンドチームにも選ばれた。
4度目のオリンピックを目指すも、来年に延期となったことが引退の引き金に
ここ2シーズンはオーストラリアとニュージーランドのチームで形成されているプロリーグ、NBLのシドニー・キングスでプレー。一昨季はオーストラリアンNBLプレーヤー・オブ・ザ・イヤーと同最優秀守備選手賞にオールNBLファーストチーム、昨季はオールNBLセカンドチーム入りを果たした。
だが36歳のビッグマンにとって、今年オーストラリア代表として東京オリンピックに出場して引退するというシナリオが新型コロナウイルスの影響で実現せず、自身4度目のオリンピック出場は叶わぬことに。
「今はもう、11月末なんだ。もし東京オリンピックが延期になってなければ、僕はもっと早くこの決断を下していたかもね。2020年のオリンピックに出場することを狙っていた。開催されていれば、僕にとって4度目のオリンピックになっていただろう。でもそうはならなかったということ」。
ボーガットは“ブーマーズ”ことオーストラリア代表として、これまで3度のオリンピックに出場。04年のアテネオリンピック、08年の北京オリンピック、16年のリオデジャネイロオリンピックに続き、東京オリンピックの出場も目指していたのだが、ボーガットは「今の身体の状態で、21年(のオリンピック)までやっていくのはフィジカル、メンタルの両面で厳しい」と口にし、こう続けていた。
「正直に言うよ。この2年間は、朝ベッドから起き上がることすら僕にとって本当にチャレンジだったんだ。そしてトレーニングや試合をこなすこともね」。
ボーガットの引退発表を受け、NBLやウォリアーズ、スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)、ドレイモンド・グリーン(共にウォリアーズ)、当時チームメートだったハリソン・バーンズ(現サクラメント・キングス)らが感謝を示し、そのすばらしいキャリアを祝福。
オーストラリア出身のビッグマンとして、バスケットボール界に歴史を刻んだボーガットには、心の底から感謝し、「ありがとう」と伝えたい。