現役指揮官がBリーグの5大プレーを徹底解説!「BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5」第5節(10月25日)

試合を決定づけた田中大貴の3ポイントシュートが1位に

毎節、Bリーグのタフショットを厳選してピックアップする「BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK」。Bリーグ2017-18シーズンの第5節から選ばれたタフショットトップ5を大塚商会アルファーズ(B3所属)の青野和人ヘッドコーチに解説してもらった。

解説=青野和人(大塚商会アルファーズ ヘッドコーチ)
写真提供=Bリーグ

【5】#14岸本隆一 京都ハンナリーズvs琉球ゴールデンキングス

技ありレイアップを決めた岸本

京都の猛追を、琉球が3ポイントシュートで突き放すといった点を取り合う展開に。第3クォーター中盤に、石崎巧選手の投入を機にパスの回りが変わった。相手のタフショットを、石崎選手がリバウンドを取ってそのままボールを運んだ際、京都にピックアップミスが起きる。そのスペースを見逃さず岸本選手がペイントへ飛びこむと、石崎選手からパスをもらい、滞空時間の長いレイアップシュートを決めた。キャッチした瞬間に1歩目が始まっている上に難しいユーロステップを選んだ。2歩目を力強く踏みこんでディフェンスにぶつかっていき、空中で溜めながらフックショット。このシュートで京都はたまらずタイムアウト。外のシュートレンジも広く、こういったタフショットも決められる岸本選手のプレーは常に観客を魅了する。

【4】#53アレックス・カーク アルバルク東京vs川崎ブレイブサンダース

カークが豪快なワンハンドダンクを記録

A東京がティップオフすぐにイニシアティブを取った。川崎のジョシュ・デービス選手がレイアップを外した時に体が流れていったのを確認し、カーク選手が全力疾走。ディフェンスは追いつくことができず、カーク選手は豪快に片手でダンクを叩きつけた。A東京の安藤誓哉選手と菊地祥平選手がしっかりと両ウイングを走ってディフェンスを引きつけているため、真ん中のラインが手薄に。カーク選手はサイズがあって、力強いプレーもできるが、このトランジッションができることで今後もA東京にエネルギーとタフさをもたらしていくと感じられる場面だった。

【3】#21ギャビン・エドワーズ 千葉ジェッツvsレバンガ北海道

富樫のアシストからアリウープを披露

第4節でのレバンガ北海道の猛追を見た大野篤史ヘッドコーチは、第1クォーターで付いた16点差では安心しなかった。第2クォーターが始まってすぐリバウンドで負け始めると、エドワーズ選手を投入し、トニー・ガフニー選手とのビッグマンコンビでゴール下を圧倒する。残り2分46秒、千葉ボールで2人のビッグマンが、トップでオンボールスクリーンをする「ホーンズセット」を使う。富樫勇樹選手のドライブを警戒し、エドワーズ選手のディフェンスがドライブコースにヘルプに出たが、逆サイドのガフニー選手についていたディフェンスがべたつきだったため、ペイントでフリーとなったエドワード選手にアリウープを演出されてしまった。当然、チームのディフェンスルールはあるが、ここまで千葉に圧倒され、シンプルなところでやられてしまうこともバスケットの難しいところである。

【2】#7並里成 滋賀レイクスターズvs大阪エヴェッサ

トップスピードでゴールにアタックした並里

大阪は桶谷大HC不在の影響があったのか、滋賀に効果的なゾーンディフェンスを許してしまう。大阪の放った3ポイントシュートのリバウンドがフリースローライン近辺まで跳ねる。並里選手が加速しながら取ると、そのままトップスピードでゴールにアタック。ブロックショットもものともせずに左手でバスケットカウントを奪う。ここではディフェンスの裏をかき、ワンステップで踏みきり、滞空時間でディフェンスに勝負し、ブロックされないように自分から当たりにいっているという技術。結果、ディフェンスに飛ばされてはいるが、柔らかくシュートができるのはこのコンタクトを予測していたから。この時間にエースの活躍で会場の盛りあがりはピークとなり、今季初のホーム勝利をいい形で飾った。

【1】#24田中大貴 アルバルク東京vs川崎ブレイブサンダース
バスケットカウントの数が尋常ではなかったことは、このゲームの激しさとすごさがうかがえる。一進一退の展開が繰り広げられ試合終了残り1分、A東京は1点リードの中、点を取れれば勝利に大きく近づくため、田中選手がゆっくりセットプレーをコールする。川崎の激しいディフェンスによってズレが作れずにショットクロック9秒、戻ってきた田中選手がトップでボールをもらう。うまくオンボールスクリーンが掛からずにカウントダウンが進む。最後は5秒でもう一度使ったオンボールスクリーンがわずかに掛かり、ディフェンスは後手に。戻ろうとするディフェンスに対し、クロスオーバーでディフェンスを振りきり3ポイントを決めた。ここでは沈みながら加速し、ドライブするようなリズムでディフェンスを翻ろうし、フェイントに引っかかったのを見ながら冷静にシュートを放っている。川崎は、追いつくには2本のシュートが必要になる4点差となった。戦術、戦略ばかりでなく、こういった気持ちのこもったプレーで決めきることで、応援しているファンにも伝わり会場は総立ちとなった。

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