12月20日、B1リーグ第13節が行われ、東地区首位のアルバルク東京は同地区4位につける川崎ブレイブサンダースのホーム、川崎市とどろきアリーナへと乗りこんだ。日本屈指の名門同士による対決は今季2回目。前回10月25日の第5節は、川崎のエース、ニック・ファジーカスに40得点11リバウンドを許すも、田中大貴の25得点を筆頭に6人が2ケタ得点を挙げ、99-91とハイスコアゲームを制している。
試合開始は19時10分。第1クォーターは16-15とわずか1点のリードで終了した。シュートパーセンテージは60パーセント、リバウンドでも12対6と圧倒するも、このクォーターだけでターンオーバーを9つも犯し、試合序盤のイニシアチブを自らのミスで取り逃してしまう。続く第2クォーターは9連続得点を奪われ、逆転されると、その後もアウトサイドシュートの確率が上がらず、我慢の時間が続く。この10分間での得点はわずか13点、前半を終えて29-35と6点のビハインドを背負ってゲームを折り返した。
後半に入ると、オフェンスが息を吹き返す。川崎のタイトなディフェンスに苦しんでいたのがウソのように、滑らかにボールを回すと、相手とのズレをうまく作って得点を重ねる。後半の流れを握るかに見えたが、菊地祥平がアレックス・カークを狙った不用意なパスをカットされ、その直後のプレーで個人3つ目のファウルを犯す。菊地が「僕の立場でやってはいけないミス」と試合後に語ったとおり、ベテランらしからぬプレーで流れを止めてしまったA東京は、辻直人、長谷川技にアウトサイドシュートを立て続けに沈められる。第3クォーターを17-20で終え、トータルスコア46-55の9点差を背負って最終クォーターでの逆転を狙う。第4クォーターに入り、追いすがるA東京だったが、試合終了8分24秒に馬場雄大が左足首をひねり、負傷退場するアクシデント。田中、ブレンダン・レーンの得点などで点差を縮めかけたが、ファジーカスにこのクォーターだけで12得点を奪われゲームオーバー。67-77で前回対戦のリベンジを許す結果となった。
今季2度目の5連勝を逃したA東京。ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは「川崎さんの方が勝つ気持ち、意欲が勝った。私たちのチームはそれに対抗できなかった」と相手の気迫のこもったプレーに称賛の言葉を掛けるとともに、自チームについて「正直なところ、集中力が欠けていた……」と悔しさをにじませた。
ルカHCの厳しい練習により、昨季からさらにタフな心身を備え、東地区をけん引するA東京だが、この日は川崎の北卓也HCが「勝因はディフェンス」と語ったとおり、相手の気迫溢れるディフェンスの前になすすべなく敗れた。強豪ひしめく東地区を勝ち抜くには油断は許されない。シーズンを折り返すこのタイミングを乗りきることができるのか、A東京が“真の強豪”となるための真価が問われることとなりそうだ。
文=村上成